■レビュー内容
「狼は羊の群れの中では暮らせぬ」
暴力が支配する無法の時代、人間の尊厳なんてない。力ある者だけが生き残る、ある意味自然摂理には合致している。なまじ人は知恵を持ったからいけないのか…。守る力のない平和は、平和と言えるのか。そもそも、恒久的な平和がないんだから、戦争と戦争の間が平和な時代と言われるだけ。平和をつくるってことは、戦争を終わらせるってことなんだから、力が無きゃ出来ないってこと?トルフィンはどうやって平和な国をつくるつもりなんだ。
難しい話。でも、戦いのシーンは迫力があって面白い。しっかり描き込まれていてかっこいい。
■あらすじ【ネタバレ注意】■
ヒルドとの戦いで負傷したトルフィンは、ベルゲンに逗留していた。やがて、トルフィンの傷が癒えギリシャへ向け再出発する。その船には、ヒルドも同乗していた。
トルフィンらは、デンマークのイェリングに着く。そこに駐留していたトルケルと再会し、ヨーム戦士団大隊長フローキと会う。トルケルは、フローキの前でトルフィンがトールズの息子だと言い、ヨーム戦士団団長に一番近い男だと言う。トルフィンは、団長などなる気はないと否定し、急いでイェリングを出ることにする。しかし、自分の孫を団長にしたいフローキはトルフィン暗殺を命じ、差し向けられえた戦士団と戦いとなる。大方を倒したトルフィンの前で、残った戦士のふたりが裏切り戦士団の隊長を殺し、自分らはフローキに敵対するヴァグン大隊の者で、トルフィンに加勢してほしいと言う。
しかし、トルフィンは自分は商人になったのだと断るが、その戦士は「狼は羊の群れの中では暮らせぬ」と、民草を巻き込んでいるのはトルフィン自身だと言う。