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日本の友人から連絡があった。
「例の『ベッカム本』の訳本、出たよ」 この「ベッカム本」とは エリス・キャッシュモア著、東本貢司訳「ベッカム神話 -全地球的アイドルの研究」(NHK出版)のことだ。 著者のキャッシュモア氏とは、英国スタッフォードシャー大学教授、社会学者である。 みなさんの中には、今年の2月に以下の記事が朝日新聞、スポーツ新聞やワイドショーで報道されたのを覚えている人がいるのではないだろうか。 2003/2/3 ベッカム大分析 ベッカムを「世界的な異才」「スポーツ界の救世主」と位置付けた研究論文を著したのはウォーウィック大の2人の学者。論文は「ベッカムは労働者階級出身で伝統的な男らしさを残しながらも、穏やかで、思慮深く、力強いけれどもやさ形」と分析。そんな複雑な魅力を持つスターが「世の男性の、ファッション、父親像、ホモセクシュアルに対する見方を変えた」と評した。 論文の著者であるアンドルー・パーカー博士は、人気女性グループ、元スパイスガールの妻との間に2人の子どもがいるベッカムは、「旧来の勤労者像」とともに、「新しい男性」「新しい若者」「新しい父親」像を示していると指摘。これまで英国にはいなかったタイプのスポーツ選手だとして研究材料に選んだ。(共同) キャッシュモア教授はこの論文の共同執筆者である。 実はこの本、このキャッシュモア氏の弟子筋にあたる先生が私の学校にいたこともあって、私は日本の友人と協力して、翻訳権を買おうと動いた経緯がある。 結果は無残に敗北。やはり素人には今最もおいしいネタである、ベッカム本の翻訳権を買うなんて、ちょっと無謀だった。。。。 この経緯はいずれ「ベッカム本翻訳騒動」として、このHP上にまとめて詳細に書こうと思っている。成功はしなかったが、私には非常にいい経験だった。 しかしながら、この翻訳本はキャッシュモア教授には不本意なものになっているのではあるまいか。 というのは、友人によるとこの本、本屋のスポーツ本コーナーに、中田本や稲本本の隣に積まれているという。 私は翻訳権を買おうとしたこともあって、原本を詳細に読んだのだが、この本はスポーツ本ではない。社会学の研究書なのだ。 本来、社会学コーナーに置かれるべきものなのだ。 そもそも「ベッカム神話」というタイトルの付け方が問題だ。 原本のタイトルはシンプルに「BECKHAM」である。 「ベッカム神話」というタイトルでは、ベッカムの生い立ちからのサクセス・ストーリーを書いた本をイメージさせる。 ところが、この本は「ベッカム現象」が起こった要因を、ベッカムの才能、個性に求めるより、 むしろ、 (1)SKY TVのサッカー放送への進出やビッグ・クラブの経営の変化などサッカービジネスの巨大化、 (2)マスコミのスターの作り方の変化、 (3)サッカー選手の貴族化、 (4)労働者階級の生活、考え方の変化、 (5)ゲイなど性についての考え方の変化 などの社会の変化に求め、それを社会学的に論じた秀作なのだ。 訳者の東本氏はサッカー本の翻訳では第一人者で、ベッカム自伝も翻訳されているが、社会学の研究書を翻訳しきれているのかどうか。 売れ線の本にするために、内容をわかりやすい言葉遣いにして、社会学の研究書としての原本の真価を失わせていないだろうか? 我々サイドは、学術書を取り扱う出版社からの出版を考え、 私たちが訳した後の完訳を大学教授にお願いする方向で動いていたので、ただのスポーツ本として発売されたのであれば、非常に残念だ。 この「ベッカム神話」については、早速入手して、 詳細に原本と比較させていただきます。 結果はこのHP上で公開します。 。。。あ~、ここ数日批判めいたことが多いすね、この日記。 ストレスたまってんのかな?実は今日まで忙しくて、10000WORDSの論文、やっと終ったところです。 これから主査の先生に提出に行くところです。 明日から、通常の日記に、もどりま~す。 (sombrasさん。「ベッカム研究の記事」の部分、引用させていただきました。) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2003年05月01日 19時40分50秒
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