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アジアカップでの中国人の
日本チームへの激しいブーイングが 波紋を呼び、 とうとう両国政府を巻き込んだ 問題となってきたようだ。 しかし、私に言わせれば、 中国のごく一部の人間がブーイングしたければ 好きにさせておくといいのだ。 我々は全く気にする必要はない。 なぜなら、日中関係というのは 中国人が日本をブーイングすればするほど、 中国政府は頭を抱えてしまい、 小泉首相は涼しい顔をしてニタニタ笑う という構図になっているからだ。 その理由はここに書いてある。 2004年5月26日 靖国問題は小泉が仕掛けた罠!? わかりましたか? わかったら、決勝戦は どんなにブーイングを受けても涼しい顔をして、 サッカーだけを楽しみましょうね。 これと少し関連するのだが、 参院選期間中、英誌THE ECONOMISTのこんな記事が 日本の新聞で紹介されていた。 『英誌エコノミスト:日本、「自民敗北で外交混乱」--世論の懸念は「軍事大国化」【ロンドン小松浩】 英週刊誌「エコノミスト」は最近の日本外交に関する特集記事を掲載し、小泉純一郎首相は大衆人気に支えられて自衛隊イラク派遣や9条を含む憲法改正の主張など安保政策の転換を図ってきたが、11日投票の参院選で自民党が敗北すれば、外交政策の足場を再び築くのは困難になるだろうと予測した。 「パシフィズム(平和主義)からポピュリズムへ」と題した特集は、小泉首相が在任中に、巧妙な世論対応で「日本の平和主義の限界を試そうとしてきた」と指摘。日本が国連安保理常任理事国入りしたり、欧州におけるフランスのような独自外交を進めることが見込めない以上、外交的影響力を行使する最も賢い方法は巨額の予算をつぎ込んでいる軍事力を使うことである、と小泉外交の背景を分析した。 その一方、同誌は日本の世論の多くは軍事大国化を歓迎しておらず、日本外交の基本は依然として「リスク回避」であるとも指摘。イラクで自衛隊員に死傷者が出たりした場合、世論がどう反応するかは未知数であり、将来の「ポスト小泉」体制下の日本外交を占うのは、結局、起き得る事態に対する世論の動きであると結論づけた。』(毎日新聞) うん。 この記事をインターネットで目にした人も多いと思うんだけど、 これ、よくわかんなかった人が多いと思うのだ。 特に、 『日本が国連安保理常任理事国入りしたり、欧州におけるフランスのような独自外交を進めることが見込めない以上、外交的影響力を行使する最も賢い方法は巨額の予算をつぎ込んでいる軍事力を使うことである』 この部分。 どうして 「外交的影響力を行使する最も賢い方法」が 「軍事力を使うこと」なのか。 すぐ軍事力に直結させないで、 他のやり方があるんじゃないかと 思う人も多いだろう。 だからこそ、同誌が指摘しているように、 『世論の多くは軍事大国化を歓迎しておらず』 なわけだが、今日は、 『日本が外交的影響力を行使するためには、 軍事力を使うこと』 と小泉内閣がなぜ考えているのかを 解説してみたい。 解説するにあたっては、 今日はこの男に登場いただく。 黄昏ぶらざ~ず3号 芸術会館大学経済学博士候補生(PhD) O田! それでは「新・黄昏ぶらざ~ず大いに語る」 いってみましょー! かみぽこ(以下K)「しかし、あれだよな。このエコノミストの記事を紹介した毎日新聞、おもしろいけど、日本ではわからん人が多いだろうな。」 O田(以下O)「そうですね。なんとなく『軍事大国化』の部分だけを強調してるような紹介の仕方になってますしね。」 K「この新聞記事を読むと、日本の人は『やっぱり小泉は軍事大国化を進んでいると外国も思っているのか!』ってなっちゃうよね。」 O「そうではないんですけどね。この記事はシンプルに小泉外交を分析して、選挙の結果がそれにどう影響するかって淡々と言っているだけなんですけどね。」 K「そこでなんだけどな。今日は、このエコノミストに紹介されている小泉外交ってのが、どういう戦略に基づいたものなのか、ちょっと解説してみようか。それがいい悪いじゃなく、淡々とね。」 O「いいですね。」 K「まずもって言いたいことは、小泉首相やその他の自民党の政治家がナショナリスティックな政治思想を持っているからこういう外交戦略になるってことじゃないってことだよな。」 O「その通りです。この外交戦略ってのは、冷静な現状分析に基づいたものです。そのへんから行きますか?今日は。」 K「そうだな。」 O「現状分析のために、まず最初に考えないといけないことは、国家間の外交における力関係ってのは大きく3つの要素から成り立っているってことです。」 K「うん。」 O「1つめは『軍事力』。2つめは『貿易黒字か貿易赤字か』3つめは『援助をしているか、されているのか』。」 K「なるほど。」 O「どういうことかというと、『軍事力』は言うまでもないですね。軍事力が相手の国より強ければ外交交渉で交渉力が強くなる。」 K「まあな。」 O「『貿易黒字か貿易赤字か』。日米関係で言えば、日本は貿易黒字国でアメリカは貿易赤字国ですね。これはつまり、日本の物をアメリカに売っているという関係ですね。 これは貿易赤字国・アメリカの方が強い交渉力を持っているということになります。なぜなら、アメリカに『日本の物は買わない』と言われると日本は終わりだからです。」 K「うん。最後の『援助』は? 日本は援助外交を得意としているということになってるよな。」 O「はい。『援助』というのはする直前までは強い交渉力を持てますが、援助をしてしまったら、その交渉力は消滅します。 なぜなら、援助した相手に『援助してもらった金は返せない』と言われると、もう終わりだからです。」 K「なるほどな。つまりまとめると、外交交渉で強い交渉力を持つ国は『強い軍事力を持つ』『貿易赤字国』『援助を受けている国』ということになるのだな。」 O「まあ、非常に粗っぽく言いましたが、要するにそういうことです。」 K「そうすると、日本はどういうことになるのかな。」 O「まず、先日2人で論じて、今日、上に載せている対中国なんですが、『軍事力』は、日本が日米安保を結んでいる限り弱くない。 『貿易』は日本の部品を中国が買って、製品にして日本に売る構図です。つまり日本が貿易赤字であって、日本が強い。 『援助』に関しては、これまで日本は湯水のように中国にODAをやってましたが、これも日本の政治家に見直しを求める意見が強まっている。これを中国は警戒しており、なかなか日本に対して強硬には出れないでしょう。 その上、北朝鮮問題がある。北朝鮮が崩壊して最も困るのが中国です。したがって、日本は拉致問題への対応がなければ北朝鮮への援助なし、という立場を取り続ければ、それは即中国に対する強力な交渉力にもなる。 (2004年7月9日 日本の対北朝鮮外交をもう一度検証する。 ) つまり、現状日本は中国に対して非常に強い交渉力を持っているわけです。」 K「なるほどな。だから中国の民衆が『反日』だと叫べば叫ぶほど、中国政府は頭を抱えるわけだ。日本政府に『日本の世論が硬化してる』を理由にいろんな交渉で強く出られると困るからな。 小泉が靖国の件、いくら言われても涼しい顔をしている理由もここにある。」 O「そういうことです。」 K「しかし、その強い交渉力も対中国に限った話だろ。」 O「そうです。日本という国は基本的に『自前の軍事的なし』『貿易黒字国』『多額の援助をしている』わけですから、交渉力がないわけです。」 K「これをなんとかしようというのが、小泉外交の基本的な考え方なわけだ。」 O「そうです。まず『現時点』で外交交渉力を持つにはどうするか。 『貿易黒字』はどうしようもないし、『援助』はもうすでにすさまじい額しちゃってるわけですから、残るは『軍事力』しかない。 当面、アメリカに徹底的に追従するしかない戦略の持ちようがない。」 K「そして、小泉内閣は本当にアメリカ追従を徹底してやったから欧米で高い評価を受けている。」 (2004年3月18日 評価される小泉外交 ) O「そうです。しかしですよ、中長期的に考えると、どうなるか。」 K「うん。『貿易黒字』は日本という国は、圧倒的な購買力がない、旧植民地というような経済圏から物を大量に買い上げることもない、ということを考えると、どうしようもない。 『援助』はもうしちゃってる国から『返せません。。。』って言われちゃうと終わり。いや、世界はいいかげんな国ばっかりだからな。 今はこちらが強い交渉力を持っている対中国も、もし中国が経済的にむちゃくちゃになったら大変な事になる。」 O「そう。そうすると『軍事力』しかなくなるわけです。しかしこれも、いつまでアメリカの傘の下に入っていられるか。アメリカから日米安保解消って言われたら、日本は本当におしまいなわけです。」 K「これが小泉外交なんだな。 短期的には『アメリカの軍事力を背景に外交交渉力を強める』。 中・長期的には『軍事力の強化が必要』と。だからイラクで実績を作り、有事法制等を整えようとしてきた。」 O「ええ、決してそれは復古的なナショナリズムに基づくものではなく、日本の現状を冷静に分析した上で、可能な戦略ということなのだと思います。」 いかがですか。 断っておきますが、 私は日本の軍事大国化を是とするものではありません。 ただし、生き馬の目を抜く 厳しい国際社会の中で日本が生き抜くには 国家としての戦略を持っていかなければなりません。 小泉内閣の外交・防衛政策は 一見行き当たりばったりのように見えますが、 実は日本がこれから国際社会の中で生き抜くために 考えに考え抜かれたものです。 これはいい悪いではありません。 残念ながらこれが現実だということです。 今日はその事実を黄昏ぶらざーずが 淡々とご紹介した、ということです。 それでは、また。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月06日 17時14分22秒
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