|
カテゴリ:オリジナル
暁が食事の片づけをしている間、山崎は例の部屋にこもっていた。食器を洗い終わりソファでくつろいでるところへ、山崎が部屋から出て近寄ってきた。部屋のドアが閉まる音が、やけに響いて聞こえた。暁が立ち上がると、山崎はゆっくりと暁の首に手を回して、首輪鎖を鍵ではずした。 「こんなものがついてちゃ、楽しめませんからね。」 山崎が目を細めて暁を見上げる。口元には笑みを湛えている。 「いいのか?俺を自由にして。」 片眉を上げる暁を見て、山崎はくすくすと笑った。 「自由?こんなものがついていなくても、あなたに自由はありませんよ。あなたは僕のものだ。そうでしょう?」 暁は一瞬冷たい目で山崎を見下げそうになったが、目を閉じてそれを隠した。山崎は指先で唇に触れ、うっとりと見上げた。
「僕を愛してると言って」
暁は驚いて目を見開いた。 「なんじゃそりゃ、アホらし。」 バカにしたようにハッと鼻で笑った瞬間に、頬に痛みが走った。一瞬何が起きたかわからず、山崎を見降ろすと、2発目が飛んできた。 「言え!それがノートパソコンを持ってくる条件だ。愛してると、僕が欲しいと言え!」 暁はカッと頭に血が上るのを感じた瞬間、頬を押さえることも忘れ、山崎の両手を掴み壁に押し付けた。 「いたっ。」 山崎は背中を壁に強かに打った。暁は奥歯を噛み締め、怯える山崎を長いこと睨みつけていたがフッと力を抜くと、下唇を噛み目を閉じた。 それから真っ直ぐに山崎を見据えて、上唇を舐めると、ゆっくりと顔を近づけた。
「・・・あいしてるよ。お前が欲しい。」
山崎は全身から力が抜けそうになるのを何とか堪えた、全身が打ち震える。欲しかった言葉が手に入った喜びで赤く染まる手を暁の顔に伸ばす。 「いいよ、かわいがってあげるよ。」 暁は山崎が自分を抱くつもりだと言うことがわかって、安堵した。抱かれるだけならなんてことない。 ソファで山崎を受け入れながら、早く終わらせることだけを考えていた。 床から上がってきた冷たい水はすぐ傍まで迫ってきていた。
---
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[オリジナル] カテゴリの最新記事
|