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韓国の龍の日記
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韓国の龍の日記 [全877件]

韓国生活もあと一週間  (12) 
[ 韓国 ]  

今週の土曜日に日本に帰国することになったので、韓国生活もあと一週間。

後任が1/27に来たので、都合2週間ほどの引継ぎ期間で、とても7年間の仕事を引き継げるわけもなく、この前の土日とも午後出社して後任にも会社に来てもらって引継ぎをした。ある人に、帰国前に西大門の刑務所と三角地の戦争記念館には行っておいた方がいいよ、と言われたが、行けずじまいだった。

今週もおかげさまで毎晩送別会が入っている。ハングルのカナタ韓国語学院のイ先生からも「帰国前に一度食事でもしましょう」と言われていたが夜はもう時間がとれないので、急遽明日(きょう)のお昼、先生が勤務されている弘大入口まで行って、そこでお食事することになった。
往復の移動時間に2時間ほど取られるのは、それでなくても引継ぎが不十分な僕には痛いけれど、やっぱり恩には応えないといけない。引継ぎは日本に帰ってからもインターネットや電話でできるし。

韓国は情の厚い世界なので、僕は大好きだ。片言の韓国語で話しても、こちらの心を汲み取ってくれて十全に理解しあえる。日本だって昔はそうだったのに、何とギスギスした国になってしまったことか。きっと先進国病なのだろう。韓国は日本と比べて先進国化が20〜30年遅いので、今から20年〜30年経つと日本のようになるのかもしれない。だけど、そこは先進国化で言えば次男の韓国、兄の失敗をよく見て同じ跌を踏まないで欲しいと思う。

こんなことを書くと、「お前は日本人のくせに日本より韓国を愛しているのか?売国奴め!」といきり立つ人もいるかもしれない。そうじゃない。日本人にも好きな人は沢山いる。でも、総体として見た時のあの沈滞ムードの支配する様が嫌いなのだ。韓国を見よ!常に気合が入りまくっている。あまり根拠がなくても常にケンチャナヨ。夜には酒飲んで気勢を上げて、また明日になったら新しい一日に立ち向かうその逞しさ。

この根拠のなさを小賢しい日本人は後進国らしいと笑うかもしれないけれど、まず気合がなければ不戦敗だ。NHK大河ドラマの「竜馬伝」の吉田松陰の如く、坂本竜馬の如く、気合と冷静な知性と広く世の中を見通す目とそれらが渾然一体となって混迷の世を立て直すことができる。あまりにも日本人の多くは知に偏ってしまった。

思えばこの7年間の韓国での仕事と生活で僕は実に多くの学びを得られた。日本への帰国が決まったときに、シンガポールの上司だったKさんに、「あまりにも韓国の情緒に浸り過ぎて、日本の会社文化に適応できるか心配です」とメールに書いたら、Kさんからは「適応できるできないの問題ではない。せっかく韓国で異文化を吸収し、外から日本を見たのだから、今の会社になくて韓国にはある良いところを君が積極的に導入するくらいじゃないといけない」と返信いただいた。誠にその通り。折角韓国でいいものを沢山吸収したので、それを日本に還元するのが僕のこれからの使命だろう。

そう考えると、日本でまた一から始めるのも悪くない。なんだか人生の展望が少しずつ開けてくるきょうこの頃。ツイテル、ツイテル。



最終更新日時 2010年2月9日 0時46分38秒
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韓国生活もあと一週間 
[ 韓国 ]  

今週の土曜日に日本に帰国することになったので、韓国生活もあと一週間。

後任が1/27に来たので、都合2週間ほどの引継ぎ期間で、とても7年間の仕事を引き継げるわけもなく、この前の土日とも午後出社して後任にも会社に来てもらって引継ぎをした。ある人に、帰国前に西大門の刑務所と三角地の戦争記念館には行っておいた方がいいよ、と言われたが、行けずじまいだった。

今週もおかげさまで毎晩送別会が入っている。ハングルのカナタ韓国語学院のイ先生からも「帰国前に一度食事でもしましょう」と言われていたが夜はもう時間がとれないので、急遽明日(きょう)のお昼、先生が勤務されている弘大入口まで行って、そこでお食事することになった。
往復の移動時間に2時間ほど取られるのは、それでなくても引継ぎが不十分な僕には痛いけれど、やっぱり恩には応えないといけない。引継ぎは日本に帰ってからもインターネットや電話でできるし。

韓国は情の厚い世界なので、僕は大好きだ。片言の韓国語で話しても、こちらの心を汲み取ってくれて十全に理解しあえる。日本だって昔はそうだったのに、何とギスギスした国になってしまったことか。きっと先進国病なのだろう。韓国は日本と比べて先進国化が20〜30年遅いので、今から20年〜30年経つと日本のようになるのかもしれない。だけど、そこは先進国化で言えば次男の韓国、兄の失敗をよく見て同じ跌を踏まないで欲しいと思う。

こんなことを書くと、「お前は日本人のくせに日本より韓国を愛しているのか?売国奴め!」といきり立つ人もいるかもしれない。そうじゃない。日本人にも好きな人は沢山いる。でも、総体として見た時のあの沈滞ムードの支配する様が嫌いなのだ。韓国を見よ!常に気合が入りまくっている。あまり根拠がなくても常にケンチャナヨ。夜には酒飲んで気勢を上げて、また明日になったら新しい一日に立ち向かうその逞しさ。

この根拠のなさを小賢しい日本人は後進国らしいと笑うかもしれないけれど、まず気合がなければ不戦敗だ。NHK大河ドラマの「竜馬伝」の吉田松陰の如く、坂本竜馬の如く、気合と冷静な知性と広く世の中を見通す目とそれらが渾然一体となって混迷の世を立て直すことができる。あまりにも日本人の多くは知に偏ってしまった。

思えばこの7年間の韓国での仕事と生活で僕は実に多くの学びを得られた。日本への帰国が決まったときに、シンガポールの上司だったKさんに、「あまりにも韓国の情緒に浸り過ぎて、日本の会社文化に適応できるか心配です」とメールに書いたら、Kさんからは「適応できるできないの問題ではない。せっかく韓国で異文化を吸収し、外から日本を見たのだから、今の会社になくて韓国にはある良いところを君が積極的に導入するくらいじゃないといけない」と返信いただいた。誠にその通り。折角韓国でいいものを沢山吸収したので、それを日本に還元するのが僕のこれからの使命だろう。

そう考えると、日本でまた一から始めるのも悪くない。なんだか人生の展望が少しずつ開けてくるきょうこの頃。ツイテル、ツイテル。



最終更新日時 2010年2月9日 0時44分50秒
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2010年1月26日

田宮俊作「田宮模型の仕事」(文春文庫)  (10) 
[ 読書 ]  

この本も昨年3月に日本に帰ったインチョンの教養人K君が教えてくれた。

僕と田宮模型との出会いは小学生のとき、ドイツ戦車パンサーだったと思う。アメリカやソ連や日本の戦車が画一的スタイルだったのに対し、ドイツ戦車はそれぞれ造形美があった。

僕はぐーたらだったから、別途タミヤ製の筆やら絵の具やら買ってリアルっぽく塗装することはしなかった。また、その頃、ジオラマ用に兵隊のプラモデルを売っていて、熱心な模型ファンはそれを熱であぶったり、パテをつけて膨らませたり、様々な色をつけたりして、たとえば井上陽水がギターを弾いている情景を作って、その作品をタミヤに応募。タミヤは優秀作品を集めた写真集を販売していて、それを見て僕は溜息をついていた。

この本、一言で言うと成功したビジネスモデルがわかる本。タミヤって全然ぶれてない。日本企業のあくまで品質を大事にし、儲け過ぎる事をせず、従業員や購買者を大事にする、そういう良いところをぶれずに堅持している。だから今に至るまで押しも押されもせぬ地位を築いている。

タミヤと比べると多くの日本企業がぶれまくっている。

ビジネスマンは須らくこの本を読んで、どうしたらビジネスで成功できるか勉強した方がよいと思う。


最終更新日時 2010年1月26日 23時27分27秒
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2010年1月10日

FREE HUG  (8) 
[ 韓国 ]  

昨日の土曜日。僕にとっては最後のワークショップ(社内研修という名の社員旅行で、例年この時期はスキー)から帰り、子供達のサッカー教室の授業料を払うのにWonが払底したので、円を両替するために明洞に行った。

5番出口から地上に出ると、若い女の子達がなにやら叫んでいる。サンドイッチマンのように胸と背に看板。何かと見てみると「FREE HUG」と書いてある。

2年ほど前だったろうか、駅の出口に若い女の子たちがいて、一回2万Wonでキスする商売をやっているという記事を読んだことがあり、その新種の商売かと思った。FREE HUGはFREE S○Xの如く、「誰彼構わず」ハグの意味かと思い、キスなら本人にも多少の(いろんな意味での)痛みがあるが、ハグならプロレスラーに背骨折りでもされない限り痛みもないので、「儒教の国:韓国も落ちたものだ」と冷ややかに見ていた。そんなんで1万Wonか2万Wonでも取るのだろうかと。

見ていると、迷彩服を着た若い軍隊の兄ちゃんが柔らかにハグしている。お金を払う様子もない。あ、そうか!このFREEは「ただ」の意味だったんだ!

じゃあ、というので僕も柔らかくハグ。

う〜ん、この行為、商売でなければ一体どういう意味を込めているのだろう?

推定1.ギネスブックにキスマラソンというのがあった。何十時間継続してキスできるかというの。それと、「ギネスに挑戦しています」という看板を出しながら、次々に路上を行きかう人々とキスをして、何人とできたかの記録を作ってギネスに載るというのもあった。そういうギネス狙いだろうか?

推定2.韓国ではその冬の初雪のときに彼氏・彼女に電話して愛を確かめあうというのがあるそうだ。(もしそのときたまたま側にいたらキスやハグをするのだろうか?)路上の女の子達は彼氏がいないので、雪が降り始めたこの日、擬似愛行為に走った?

推定3.ハンドinハンドの如く、人類みな繋がろう、その印として、見知らぬ人とのハグなのだろうか?

特に説明看板なんかなかったから何かの運動だったのかどうかわからない。単に、「楽しくてあったかいことやろうよ」というノリなのだろうか?

おぢさんとしては、見知らぬ人の中には悪い人もいるだろうから、ハグして背骨折りなんて悪い男も出てくるのではないか、という邪推をしてしまった。僕自身の心が汚れてしまっているということだろうか。

駅から出てすぐの両替屋で両替して一人とハグしてすぐ駅に戻ったから一部始終は見てない。

FREE HUGを呼びかける女の子たち、みんな普通の子。20代前中半くらい。推定3.があたっているといいな。そしてその短い間だけでも見知らぬ人が繋がったのだったらいいな、と思った。



最終更新日時 2010年1月10日 21時12分35秒
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タグ:FREE HUG

2010年1月3日

あけましておめでとうございます  (10) 
[ 韓国 ]  

年男の韓国の龍です。みなさま、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

いよいよ今年の2月初旬に帰国が決まり、韓国で過ごす最後の年末年始。

31日。年越しの会を我が家でやることになった。5家族27人。中には、家族のみ日本に既に帰国し、この年末年始を韓国で過ごすために来られた人もある。中には、旦那だけ12月初めに帰国し、家族が1/2に帰国するため年末から韓国に戻られた人もある。

朝10時15分に家を出発し、野郎ども4人でノリャンジン水産市場へ。家から車で約10分でソウル一大きい水産市場に到着できるのは、大都会ソウルに住む醍醐味。日本では、僕らの身分ではそうはいかない。

交渉上手のOさんが中心になり、ブリ(刺身にするため)6kgx1、タラバガニ大x4、あわびx6を買う。市場のおばさん、おじさんとのやりとりも楽しい。

所期のものを買った後は、生牡蠣を買い、市場内の食堂に持ち込んで焼酎を飲みながら食す。それと、ブリのアラなどをメウンタン(辛いなべ)にしてもらう。話に花が咲き、大晦日の一次会は楽しく終了。

帰ってから、ピアノの弾き納めをし、本の読み納めをし、チューリップやオフコースの聞き納めをした後、タラバガニx2をゆでるのは僕の仕事。昨年、Kさんにタラバガニの茹で方のインターネットサイトプリントアウトをもらって経験済み。2リットルの水に塩30g程度でタラバガニを茹でる。

家内がその他もろもろの準備をして6時半集合、7時開始。紅白歌合戦が7:15に始まる。おっと、その前、5時半頃だったろうか日本の会社の先輩から、「おい、永ちゃんが紅白でるの知ってる?」と耳寄りな電話。NHKが出演交渉をしたが永チャンは何も返事をせず、出演しないのかと思っていた。「すごい情報網ですね」と言うと、「ばーか、ヤフーニュースを見た人は誰でも知ってるよ」と。

一年の締めくくりを尊敬する永ちゃんを見て過ごせる幸せ。やっぱし永ちゃんはグレートだぜ。紅白が始まった年に生まれた永ちゃんも紅白と同じく昨年還暦。元気のなに日本に渇を入れられるのは、様々な蹉跌に打ち克ちがんばっている自分の生き様を見せるに如くはないと判断した出演だろう。オー、グレート!!

年が明けて解散。

1月1日は昨年と同じように初日の出を拝みにハンガンへ。昨年はKさんと出会ったけれど、そのKさんも昨年10月に上海に転勤になったので、今年は知っている人とは出会わず。空は雲ひとつなく、昨年と同じように8時少し過ぎた頃にお日様が姿を現した。すごく大きくてオレンジ色のお日様。今年は世界人類がより幸せになれますようにと祈り、帰る。

安岡正篤師の教えに従って、新年にあたり佳書を読もうと思い、まずは日経新聞の読み残しから読み始め、今野浩「理工系離れが経済力を奪う」、渡辺元智「若者との接し方」、村上春樹「ふわふわ」を読み、塩野七生「ローマ人の物語IV ユリウスカエサル ルビコン以前」を少しだけ読み継ぐ。今は、スチュアート・クレイナー「ウエルチ 勝者の哲学」を読んでいる。

きのうの1月2日のメインイベント便とは帰国するHさんをお見送りし、その後適当に過ごし、夜はOさん一家とカンジャンケジャン(蟹のしょうゆ漬け)を食べに。ここの豆腐もうまい!

きょう1月3日は家内がテニスに行き、子供たちがサッカーに行ったあと、マッコリを飲んでいい気分になり、ピアノとギターの弾き初め、音楽の聴き初め、そして「ウエルチ・・・」を読みつつ、今度は一人でバスに乗ってノリャンジン水産市場に行き、タラバガニと牡蠣を買いに行った。

仕事は全然しない年末年始。でもピアノに、ギターに、音楽に、本に、蟹に、家族に、友達に愛情を注ぎ、楽しく明るい一年の幕開け。

さあ、2010年をいい年にするぞ!


最終更新日時 2010年1月3日 16時56分59秒
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2009年12月26日

第?回ハラボジ会  (2) 

きょうは第?回ハラボジ会。たぶん20回くらいはいってるだろうか。

みゆきさん妹はお風邪を召してお休み。みゆき姉さんは3連休の中日なので、ファミリーアフェアーがあってお休み。素浪人さんと私の二人。

先方もリーダーの崔ハラボジと、前回のハラボジ会のときに偶然お知り合いになった朴さんのお二人。

いつもの怪しげな食堂でとんかつやらマンドウククを食べ、韓国焼酎で乾杯。私はお酒がめっぽう弱いので、焼酎3杯くらいでできあがり、上の瞼と下の瞼が何度もキスをする。89歳の崔さんは飲んで尚意気盛ん。きょうは、今まで胸に秘めていらっしゃった「独島は韓国の固有の領土である」を史実を踏まえて御開陳された。私は、「私が日本国総理大臣ならば独島は韓国に差し上げます」と申し上げたが、そう軽々に「差し上げます」と言ってはいけないとたしなめられた。

いつもは食堂を13時半頃に出るのだが、きょうは崔さんが語りに語られたので、14時半頃になってしまった。そしていつもの巨大ノレバンに行ったところが、既に部屋がなく1時間待ちだと言う。おそるべし、韓国の老人パワー。

仕方なく近所のノレバンを探すと、すぐ隣のビルにあった。「Noblessなんとか」いうノレバンで、部屋もきれいで、すこし妖艶な雰囲気。そこに中高年の野郎4人で入って唄いまくりました。

きょうも楽しかったなあ。この会、私が韓国を去った後も続いてくれたらいいなと心から思いました。


最終更新日時 2009年12月26日 18時32分5秒
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2009年12月23日

吉川英治「宮本武蔵」(講談社)  (4) 
[ 読書 ]  

僕は子供の頃から高校時代まで、実に本を読めない男だったので、世に名高い吉川英治の本は今に至るまで読んだことがなかった。

全く本を読まなかったわけではない。高校時代の夏休みにはドストエフスキーの「罪と罰」を読んで、最初のうちは長ったらしい名前がいろいろ出てくるのに辟易してページをめくるのが億劫だったけど、50ページほど読んでこの作家の文体に慣れてきた頃には読むのが止まらなくなった。

大学に入ってからは、あるきっかけで大江健三郎に凝りだし、文庫で読めるものはすべて読み、新刊が出ては買った。その後は村上春樹。

しかし、吉川英治のものは、当時歴史物に興味がなかったせいで、一向に手にしようとしなかった。

僕が韓国にまずは単身で来た2003年2月末。当時のNHK大河ドラマは「武蔵(MUSASHI)」。このときは会社を立ち上げたばかりで、自分でも何をどうしていいやらわからず、土曜も日曜も返上して仕事をしていた。そして日曜の夜にTVをつけたら武蔵をやっていて、僕は中学〜高校と剣道をやっていたこともあって、興味をもって見た。

あ、そういえば亡くなった上司のMさんが、私がシンガポールに駐在していた1991年頃だったろうか、「君には緩急がない。せっかく剣道をやっていたのだから、ここでも剣道をやったらいい。君にこの本をあげるから。」とくださったのが宮本武蔵の「五輪書」。

本は読んで、武蔵の求道者としてのストイックな厳しさに感銘を受けたものの、体育が万年「1」で運動コンプレックスがあった僕は、「はい」と言いながら結局剣道は再開しなかった。

また2003年に戻り、NHK大河ドラマで興味をもった僕は、8月に妻子がこちらに来るときに、BOOK OFFで吉川英治の「宮本武蔵」を買って持ってきてほしいと頼んだ。たまたま妻が行ったBOOK OFFには1,2,6,7巻しかなかったのであるだけを買ってきてもらった。

しかし、その後、仕事をもっと上手にやるために読むべき本が別にあり、また、次々と興味が別に移ってしまったため、きょうまでこの本は手付かずにきた。ドラマの方は欠かさず見続けたので、「大体わかったからいいや」と思ったのもある。

最近になって、仕事をもっと上手にやるために読むべき本を読むのも大事だが、それだけでも息が詰まるので、娯楽としての小説も読むようにし始め、ふと書棚を見ると6年3ヶ月前に買ってきてもらった「宮本武蔵」が手付かずに残っていたので読み始めた。

読んでから見るか、見てから読むか、という問題もあるが、僕の場合は見てから読んだことになる。

武蔵役の市川新之助はあの目つきが武蔵像にぴったりだし、堤真一も、ちょっといい加減で自堕落な、それでいておっちょこちょいで人のいい演技がこの本の又八にぴったりだと思う。

渡哲也演じる沢庵和尚は、本の年齢設定よりドラマは少し上に設定してあるけれど感じは出ている。米倉涼子演じるお通は、一途なところは本に描かれている性格をよく表しているが、若干違うような気がする。

今回本を読んで思ったのは、ドラマを見てすべてわかった気になってはいけないということ。もちろんドラマつくりのプロが作った作品だから、とことん原作を解釈して、それを本よりも限られた時間で、しかも言葉の説明なく演技で表さなければならないから仕方ないことではあるが、本にはあってドラマに抜け落ちたところが多々あると感じている。

読んでいるのはまだ2巻の途中だが、たとえばこんな部分を読むと、必ずしも史実かどうかわからないけれども、吉川英治が現代も昔も同じ人間のやること、そう大きな違いはないはずだと大胆に創造したのだろうなと思われる箇所があって、あらためて吉川英治の人間洞察のすごさを知る。

文庫版第2巻の206ページ。
「街に歌がさかんになりだしたのは、何といっても太閤の世盛りからだった。室町将軍の頃には、歌があっても廃頽的な室内のものだけだった。その頃は、児童がうたう歌まで、ひがみっぽい暗い歌が多かったが、太閤の世になってからは、歌も明るくなり大きくなり希望的になって、民衆はそれを汗をかきながら太陽の下でうたうことを甚だ好んだ。
 関ヶ原の役の後、社会文化に家康色がだんだん濃くなってくると、歌もすこし変って来て、豪放さはうすくなった。太閤様のころには、民衆からひとりでに歌が湧いてきたが、大御所の世間になってからは、徳川家付の作者が作ったような歌が民衆へ提供されて来た。」

さもありなんと僕は思う。

だから、見てから読むか、読んでから見るかはどちらでもいい。一つの作品、或いは一人の人間の有様を味わい尽くすには、本とドラマと両方を心の目で読む/見るに如くはない。



最終更新日時 2009年12月24日 0時56分46秒
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