カテゴリ:国語
五ツ木駸々堂テストは、関西圏では比較的メジャーな模擬テストです。
塾内の模擬テストとはまた違って、私立中学の教室が受験場であるため、本番の気分を味わえたり、他塾の生徒と混じっての偏差値や順位が刺激になります。 また、各私立中学が実施している学校説明会の中で、個別でアドバイスがもらえたり質問できたりするときに、このテストの結果が目安になることもあります。 一部の私立小学校ですと、この試験を全員に受けさせてそれで内部受験のコースが決定するということもあります。 長期的に信用されている模擬テストです。受験しての意義も多くあります。 算数・理科・社会は、難関校を受験する生徒さんには物足りないというのが一般的な評価です。 割と基本的な問題からバランス良く出題されているように感じます。 しかし、あくまでも私の個人的な意見ですが、この試験の6年生の国語は、他の3教科とバランスがとれていません。 もう少し生徒達の意味のあるものに変化してもらいたい。 私も対象は小学生ではありませんが、「出題者側」でもあります。テスト作成の苦労も知っているつもりです。 それでも、改革をしてもらいたいと切に思っています。 ○まず出題される素材の文章が難しすぎる。 いちばん最近の試験では、鷲田清一氏の文章でしたが、この方の文章は大学入試問題でよく出題されています。 高校3年生で読むような内容のもの。 全てを理解しなくていいとは言え、抽象的な内容で、一般的な価値とは別の視点で分析された文章は、そこそこ問題集で力をつけてこられた生徒も出鼻をくじかれてしまい、必要以上に焦ってきて、「解ける問題」と「解けない問題」を体験することが難しい。 「力をはかる・課題を見つける・次に活用する」という模擬試験の役割を果たしてくれていない。 ゴール地点の難易度なんですね。しかも実際の入試でこのレベルの問題が出題されるのは、難関数校だけです。 上位校でもここまで要求していない。長かったり、深かったりはしますが、小学生にとって興味を持てる範囲の文章で出題していることが多いです。 この模擬テストを受験する生徒さんの多くは、中堅校の確実な合格を目指していたり、上位校にチャレンジできるかどうかこれからの勉強しだい…というところです。 昨年の実績調査の数字を見ても、灘を受験して合格した生徒さんでこの五ツ木駸々堂を受験したデータが残っているのはわずか3名。おそらく作成者は難関中学を受験する生徒さんにもこの模擬テストを受験してもらいたくて、難しい問題を出しているのだと思うのですが、現実として灘を受験する生徒さんは、この試験を目安にはしていません。大手の灘志望者だけの試験を受けています。 この試験を受けて志望校を考える生徒さんにとって、ちょうどいい難易度に調整してもらいたいものです。 ○文章の難易度が高いために、設問が「語句の知識・文法」に寄りがち。 →文章を読み込んで理解して解く問題が少なすぎる。読解力が試せない。文章読まずに設問から手繰っていった生徒の方が高得点でてしまうようなテストは、国語としていかがなものか。 ○その「語句知識」も、「一瞥」「おしなべて」など、小学生にとっては難解。 記号問題なので、勘での正解者が偏差値上がってしまう。もう少し妥当なラインで出題してもらいたい。 ○2つや3つ答えて「完答4点」という配点。 全て空欄にした生徒と、一部正解している生徒が同じ点数になってしまう。 受験までにさらに力を伸ばしていこうとする途中段階としては、課題が見つけにくい配点。 ○抜き出しと記号選択が中心。記述はあっても1題のみ。 ですから、この試験で高得点でも志望校の国語の問題を解いてみたら全然正解できないというタイプの生徒さんも多いです。記述解答中心の学校も多いですから。 ○漢字が4問だけ。各中学校ではだいたい10問くらいは出題されていて、難易度のバランスがとられている。 ○平均点が38点とか。 これが本当に問題だと思っています。 母国語に苦手意識を植え付けること、これが子ども達にとってどれだけ悪影響か。 ただでさえ、この試験を受ける子ども達はほぼ全員が塾なり家庭教師なり個別指導なり、中学受験のための学習を積み重ねている子たちです。公立中学に進学する子達も大勢いる中で、いろいろと我慢したり、目的を持ったりして、日々勉強をしている子たちです。 その頑張っている子たちの中のちょうど真ん中にいる子に「38点」を与えるって…。 私は200点満点にすればいいのにと思っています。 200点満点で問題数も倍にする。 易しい問題も多くなるけれど、問題数アップによって上位の生徒にはスピードも要求していくことになります。 現在よりももっと確実に生徒の学力によって、点数の順位が正確に並ぶと考えられます。 比較的基礎的な問題・中学受験でメインとなる難易度の問題・ハイレベルな問題をバランスよく。 漢字や語句も10問ほど出して、どの程度までなら答えられるのかというラインが見えると模擬テストとしての意義も大きくなりますね。 この形ですと、平均点の見た目も変わります。 大人からすると200点満点の76点も100点満点の38点も実質は同じですが、小学生にとっての印象はちがいますよね。76点だったら、まぁまぁ解けたな、次は80点は越えようという気持ちになれると思います。 志望している学校に合わせて、100点満点の範囲で解く生徒、150点を意識する生徒、180点をねらう生徒と 自分を基準にして問題に取り組むこともできますね。 中学受験を今から考えるという生徒さんも挑戦しやすくなります。 各中学の先生の気分も変わるのではないでしょうか。 「模擬テスト」として、その実力の分析に使える問題を出してもらいたいです。 最近、中学独自で「プレテスト」を実施するところが多いですが、そちらのテストの方がやはり参考になりますね。 もちろんこの試験で高得点取れるのは素晴らしいですし、その実力は誇りに思って下さい。 国語の力を伸ばすのに、いくつかのパーツに分けて対策を取りますが、そのパーツが全て揃ったときに初めて得点に結び付くような試験問題です。 一部のパーツがまだ不十分だと、とたんに解けない、そんな問題なんです。 思うような結果にならなくてもどうか落ち込まないで。 毎日の取り組みを成果として実感できるような試験問題であって欲しいという希望です。 未熟な子ども達を育てる立場にいる大人は、長期的に、意義のある、そういう時間を積み重ねていくことをしっかり軸に置いて指導していくべきだと考えています。 目先のテクニックや単なる順位づけで、実は子ども達を遠回りさせている、ゆがませているということにはならないように配慮が必要だと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年11月18日 12時10分46秒
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