カテゴリ:国語
大学の非常勤講師としてのお仕事が増えまして、現在では週4~5回講義を担当させてもらっています。
単位認定される正規の授業では、1回生担当の講義を通年(30コマ)で担当する大きなプロジェクトに関わりました。 大学入学してすぐに、「大人であることを意識した国語力、幅広い意味でのコミュニケーション能力、自分の意見を説明する力」を磨く授業を受け、学生の意識や雰囲気の変化の大きな手応えを感じました。 ありがたいことに、私の学生への思いを欲張って詰め込んだテキストをそのまま採用してもらえました。 こちらの授業をする数年前にきっかけがありました。 3回生の就活講座の文章力の部分を担当しました後の会議で、私の率直の意見をと求められてこうこう答えました。 「基礎学力や社会人への意識のスタート地点が低く、正直この時期では遅すぎるように感じました。できればもう少し早い段階で、そして回数を増やして、表現力の手前の部分から育てていく方向でご協力させていただけたら嬉しいです。」 それからまずは、放課後の希望者対象だった就活支援セミナーという形から、正規の授業で15コマ。 さらに対象を3回生以上だけでなく、2回生から受講できるようになりました。 社会人として活躍するために必要な基礎力、就活に対応できる程度の読解力や文章作成能力、それらを身につけるための意識改革の授業を担当しました。 初めは200人クラスまで私一人で担当しましたが、希望者が増え、さすがに600名近くのレポートを塾や他の大学の授業の仕事もしながら添削や採点をするのは難しくなり、同じ想いを共有できる講師仲間と現在では6クラスで指導しています。 学生気分でいる彼らの「社会人としての意識」を刺激するために、収入、貯蓄、年金のデータの話などもします。 学費や奨学金を1日辺りいくらか計算させ、居眠りがどれだけもったいないことか、 また、結婚式の披露宴の招待状に対する返信はどのように記入すると印象が良いかという話や、敬語や美しい所作の意義、 サービスが一流である企業の感動のおもてなしはどのような背景やメカニズムが隠れているのか、 相槌やリアクションが次のコミュニケーションにどのような影響を与えるのかを実際に学生に実験させたりしながら、 豊富な語彙力、文章読解力、説明能力の養成にも時間をかけます。 最初の2回ぐらいで私語は一切なくなります。もちろんスマホをいじる学生もいません。 真剣です。 自分の能力を磨くことに対して、意外なほど現在の学生は前向きです。 そうなるときのキーワードのようなものがあります。 自分のことはどこまでも手を抜く学生は本当に多いのですが、「自分の甘い考えのせいで人に迷惑がかかる」ことをとても嫌います。アルバイト先で自分のせいで常連さんが減ることや、自分の安易なメールの返信で友人が傷つくことなどには非常に敏感です。また「人の役に立ちたい」気持ちが強いです。そのために今自分が学ぶことで、将来人の役にたつ機会が増えるとなると、スイッチが入ります。 このような授業をしてきて、学生の変化を目の当たりにし、その講義の卒業生が実践的なゼミでさらに鍛えられ、 ANAや三菱東京UFJ銀行など一流企業へ就職できる学生も数を増やしています。 彼らは、自分をしっかり分析し、自分を磨くことに積極的になりました。 これから社会に出て、さらに輝いてもらいたいです。 この授業での学生の変化をきっかけに、やはり学生を育てることを考えれば、入学してすぐのときからの方が効果は高いはずだと、1回生での授業をこんなふうに展開したいと、プレゼンをさせてもらう機会を得ました。 有り難いことに、大学の方向性と噛み合い、実現に至りました。 どうせならと入学者全員を対象に。 講師も10人必要です。力量があり、かつ臨機応変に学生への対応もできる講師を集め、何度も情報交換をしました。 学力別クラスで、言い出しっぺの私は責任を持って各学部の最下位クラスを担当しました。 日本語語彙や読解のテストで、中国・韓国からきた留学生に点数負けちゃうクラスでした。 しかし、1年経ち、テストの点数は70~80まで伸び、うちのクラスからも99点も出ました。 アンケートの結果、 「上手に手を抜いたり逃げることがカシコイことだと思っていたけど、前向きにやってみたら、意外とできることが増えていって楽しいとわかった。」 「本気で勉強したのは初めてです。スポーツしていたら許されて来ました。でも、知識が増えていくと、バイト先の先輩の話とかもよく理解できるようになり、かわいがってもらえるようになって、よかった。」 「先生の言った、うなずく、姿勢を正す、感謝の気持ちを表現する、をするようになってから人間関係が変わった。」 「自分の人生について考えるようになった。将来、自分の納得のいくように毎日頑張る。」 など、非常に前向きな言葉がたくさん並びました。 1回生の中退者も昨年より大幅に減りました。 「この人達はこういう人だ」と諦めず、持っている力を出し切れていないだけだと、その磨き方について、温かく、時には厳しく伝えていくと、これだけの変化があるのだと、私も大きく学ばせてもらえた1年でした。 新たな1回生に授業を始めて1ヶ月。 彼らもわずかながらすでに変化を見せてくれています。 そして、昨年の教え子達がよく声をかけてくれます。とてもかわいいです。 ここでの手応えをまた、塾の小学生に応用できる形で私も分析、消化していきます。 小学生のときから積み重ねていく「国語」、それは大きな可能性を広げていってくれる力となります。 少しでも前向きに、少しでも楽しんで、一つ一つ積み重ねていきましょう。 コミュニケーションの軸となります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年05月16日 21時05分28秒
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