昨秋、哥哥toyomさんが『転がる香港に苔は生えない』の本を
紹介していて僕も興味を持ったので、何軒か大きな本屋を廻って
探し出して買っていました。そして先日、漸く読み終わりました。
この本は、作者の星野博美さんが1986年に語学留学として一年
香港に住んでいたが、返還される香港を実際に立ち会いたい事で
10年後の1996年から2年間再び香港の深水[土歩]で生活して、
同じアパートの住人や近所の人・大学の同級生・語学学校の仲間・
茶餐廳の店員らと接して、香港で生きていく事の厳しさや観光では
経験できない香港を見つめるノンフィクションの作品です。
読んで複雑な気持ちになりましたね。僕も漠然とした思いでは香港
でしばらく生活してみたいなぁなんて思ったりしましたが、突きつけ
られる現実というものを何も考えずにいるなと思わせられました。
香港はよりよい生活を求めて大陸から難民として渡って来た人や、
労働者とエリート層の格差が大きい為に多くの人は日々の暮らしも
大変だという事を考えても、僕は日頃から生きていく事にノンビリと
構えていますからねぇ。
それに、返還前にいろいろと言われていた事にも、懐かしいという
感じがしました。その昔は難民として香港に渡ってきても、しばらく
の間隠れ住んでいれば香港で生活ができる権利を獲得できたり、
香港の男が大陸の女と結婚しても女には香港で生活できるビザが
下りない為にバラバラで生活してしいる事が話になっていましたし、
エリートクラスは着々とカナダなどへの移民の準備を進めていたり
していましたからね。
奥さんと子供を移民先に住まわせて、夫はしばらくの間香港へ残り
仕事を続ける「太空人」という言葉も流行ったなと思い出しました。
(K)