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カテゴリ:読書
●『眠れる美女』川端康成_オススメ度★★★★(満点5点)
川端康成は変態である。これはもう疑いようがない。 老人が、秘密の館に入る。鍵を渡された部屋には何が待っているか。 決して起きないように薬を飲まされた若い美女が待っている。 無体なことさえしなければ、何をしても良い。 一晩を一緒に過ごせる。老人は男としての機能が失われた 客が多く、そういったこと以外に楽しみを見出す。 楽しみだけではなく、虚しさや、過去の思い出や、さみしさが 胸に去来する。 どうですか。こういう局面が、川端の丹念な美しい文章で 描かれる。下手なフランス書院の激しいだけの小説などより もっと官能を刺激される。 女性自体の素晴らしさに触れ、罪悪感を持ちながら 単純な感動だけにはすまされない。己の現在過去未来を 自問せざるを得なくなる。 こういう店ってVIP向けにありそうだよなぁ。 退廃にして耽美的。思いっきり私のツボである。 川端康成、日本が誇る素晴らしき変態。 ノーベル変態賞を差し上げたい。 文学とはありきたりのものであってはならない。変態でなければならない。 だとすれば、彼は本当の文学者である。 #文学者っていいね。己の妄想を美しく描き、読者の底に隠された変態を引っ張り出す。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004年08月10日 23時33分40秒
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