638539 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

名無し人の観察日記

名無し人の観察日記

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2011.05.08
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類

 ここ最近、反原発派を批判する日記を書いていたので、たぶん私の事を原発推進派だと思う方は多いと思います。
 まぁ、実際に推進賛成派なのですが。ただ、推進派と言っても「次世代のもっと安全なエネルギーが開発されるまでは、繋ぎとして原子力を利用する事に賛同する」と言った感じです。
 実際の所、世間で原発推進派と言われている人々や、それに賛同する私みたいな人間の多くは、太陽光や風力等の自然エネルギーや、核融合などの次世代エネルギーによって需要を賄う事ができるようになるまで、まだまだ時間がかかる事を認識しており、現行の主要なエネルギー源である火力や原子力は、それまでの役割だと言う考えでいる人が大半で、反原発派が妄想しているような、何もかも原発で賄うべきみたいな狂信的原発大好き人間と言うのは、まずいないと思います。と言うかいたら、私はその人のいう事には絶対に賛同しません。
 
 あとは、私はただ単に無茶苦茶な理屈にもならない理屈をつけて相手を攻撃するバカが大嫌いで、そんな感じのバカがあまりにも反原発派の中に多いので、そう言った連中の言う事は批判しておかなければならない、と思っています。
 
 
 と言う事で、今日も反原発派の無茶な主張を批判しておきたいと思います。
 
 京都大学原子炉実験所に小出裕章と言う学者がいます。見ての通り、原子力の専門家ですが、この人は反原発派で、原発を廃止するための研究を日々行っているそうです。そのための講演や著書も多く出しているので、共産党の吉井議員(大学時代に原子力を研究)に並ぶ、反原発派主張を技術面から支える専門家(笑)と言えるでしょう。
 
 ここで「専門家」と言う単語に「(笑)」を付けたのを見てわかると思いますが、私はこの人の主張を端から信じておりません。原子力に関してはまぁ知識があることを否定はしませんが、どっちかと言うとこの人は専門家の肩書きを悪用して、理屈にならない理屈をつけて原発やその推進派を攻撃するだけのデマゴギストだと考えています。
 
 何故そう思うのか。それは、反原発派が良く主張する「地球温暖化の原因は実は原発だ」と言う主張の元ネタがこの人だからです。
 小出氏の著書「隠される原子力・核の真実」に記載があり、良く反原発派に引用されるのがこの説です。
 
・原子力発電所は巨大な「海温め装置」である。原子炉の熱は3分の1が電力に転換されるだけで、残り3分の2は冷却水を通じて海に放出され、海水温を上昇させている。
・100万kw級の原子炉は1秒間に70トンの海水の温度を7度上昇させる。年間では1000億トンもの水が7度温められた状態で海に放出される。
・この膨大な温排水から放出される熱が、温暖化に寄与している事は間違いない。
・さらに、海水の温度が上昇すれば、海水に溶け込んでいた二酸化炭素が大気中に放出され、温暖化を加速させる。
・このように原発が温暖化に対応したクリーンエネルギーと言うのは嘘であり、むしろ温暖化の主犯である。


 原子炉は冷却水を循環させて常時冷却する必要がある装置ですが、原子炉を直接冷却すると共に、タービンを回して熱を電力に転換する「一次冷却水」とは別に、海や川から取水して、その一次冷却水をさらに冷却するのに使用する「二次冷却水」の二系統があります。
 この二次冷却水のほうは冷却終了後に海や川に戻されますが、それが取水時より高温になっているのは事実で、だいたい7度くらい上がっていると言うのも事実です。年間1000億トンの二次冷却水が海に放出されているのもまた事実。この点に間違いはありません。
 
 しかし、それが温暖化の主犯であると言う結論部分は、はっきり言えばデタラメです。こじつけにすらなっていません。それをちゃんと数字で表したいと思います。
 
 まず、1000億トンの二次冷却水を7度温める熱の総量を計算します。
 水の比熱(1グラムの物質の温度を1度上昇させるのに必要な熱量)は約4200ジュール(以下J)になります。ここから計算していくと……
 
 1トン=100万グラムなので、1トンの水を7度上昇させる熱量は、4200×7×1000000=29400000000J(294億J=29.4ギガJ)
 これを1000億倍すると、2.94×10^11GJとなります。なるほど、ものすごい莫大な数字に見えますね。
 しかし、地球温暖化に最も決定的な影響を与える熱源は、太陽エネルギーです。太陽エネルギーは一年間に熱換算で5.5×10^17GJに及び、これは原発が一年間に海に放出するエネルギーの約200万倍に達します。
 
 要するに、仮に原発から放出された熱が全て大気中に逃げたとしても、気温に与える影響は太陽の影響の200万分の1しかありません。普通はこんなものは誤差の範囲として無視されるレベルです。
 太陽エネルギーは周期的に0.1%程度変動する事が知られていますが、この0.1%の変動によって地球の気温が0.1~0.2度程度変動する事が確認されています。この0.1パーセントの変動分でさえ、原発の放出する余熱の2000倍に達するので、原発の余熱が気温に明確な影響を与え始めるには、あと10000基ほど原発を増設しなければならないでしょう。なお、日本に原発は今のところ55基しかありません。
 
 そもそも、原発がなかったとしても火力発電所だって余熱を冷却水と言う形で海に放出している事に変わりはありません。現在火力発電は全電力供給の6割を占めていますが、平均熱効率を50%と仮定しても、3割分の原発と同じだけの余熱を海に放出している計算になるはずです。
 しかし、「原発は海温め装置」だと批判する反原発派が火力発電を同じ理由で批判したと言う話は聞きません。結局、反原発と言うイデオロギーありきでものを語るから、こういうダブルスタンダードがまかり通るのでしょう。
 
 
 同じような理由から、海水に溶け込んでいる二酸化炭素が云々~と言う主張もデタラメです。
 まず、気象庁が定点観測している海水中の二酸化炭素濃度を確認してみましょう。
 
 二酸化炭素濃度の長期変化傾向(北西太平洋)
(気象庁 地球環境・海洋部)
 
 このサイトの表によると、海水中の二酸化炭素は年々増加傾向にあります。もし原発排水の影響で二酸化炭素が海水から放出されているなら、この数値は下がらなければならないはずです。しかし、現実は逆
 これだけでも十分小出氏の主張を粉砕するに十分ですが、念には念を入れて、1000億トンの原発排水から放出される二酸化炭素量を計算してみましょう。最も厳しい条件を設定して、温められた排水からは全ての二酸化炭素が大気中に逃げると仮定します。
 2010年には海水中の二酸化濃度は約340ppmとなっています。つまり、1リットルの海水中には0.034グラムの二酸化炭素が含まれているという事になります。
 二酸化炭素濃度340ppmの海水を1000億トン取水して、そこから全ての二酸化炭素が放出されたとすると、その総量は3億4000万トンになります。
 一方、日本の排出する二酸化炭素は年間12~13億トンなので、原発排水から放出される二酸化炭素量の最大値ならば25%分はあります。お、結構な量ですね。これなら気候変動の原因と……
 
 言えるわけがありませんね。そもそも「全ての二酸化炭素が逃げて、しかも再び海水中に戻らない」と言う想定自体、気象庁の観測データと矛盾するので正しくないことはわかりきってますし……結局、それくらい無理のある想定をしない限り、原発排水によって二酸化炭素が海から放出されて温暖化の原因(それも主犯格)になると言う説そのものが無理筋であると言う事にしかなりません。
 
 
 こうして数字で見てみるとわかるのですが、小出氏は「原子炉が温暖化に影響を与えている」とは言うのですが、それが具体的にどれだけの影響を地球にもたらしているのかについては全く触れていません。おそらく、小出氏は大きな数字を出してインパクトさえ与えれば、それを聞いた人が具体的な影響がどの程度か、考えたりはしないと思っているのでしょう。
 これは知的活動としては極めて不誠実な態度であるとしか言い様がありませんし、あまりにも聞き手の知性を馬鹿にしています。私が小出氏を「専門家(笑)」と書いて信じるに値しないと判断した理由が、これでわかっていただけるのではないかと思います。
 
 原子炉は確かに制御に失敗すれば危険です。しかし、嘘をつきデタラメを持って批判する事が許されるわけではありません。小出氏のような態度は、結局自分が批判している原発推進派よりも遥かにいい加減なものでしかなく、最終的には自分の身を滅ぼす事になりかねません。自分が批判される側に立った時、嘘やデタラメで中傷されて平気でいられるのでしょうか。
 そう言う想像力のない人間にものを語る資格があるとは私には思えません。


 





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.05.08 18:56:55
コメント(10) | コメントを書く


PR

Favorite Blog

最近聴いたレコード… New! ケルンコンサートさん

Comments

Keyword Search

▼キーワード検索


© Rakuten Group, Inc.