テーマ:趣味の英語(406)
カテゴリ:Christmas
追加情報:このブログをもとに、新しい訳をつけてこの社説を読み解く本、Do You Believe in Santa Claus? を作りました。興味のある方は表紙をクリックして下さい。 なおこの社説に関するブログは12月8日から12月26日まであります。併せてご覧下さい。 1897年9月21日付、ザ・サン新聞社の社説 下記の切実なお問合せに対しすぐに、そしてこのように晴れがましい思いで返答できることは私どもの喜びとするところです。と同時に信心に篤いこの手紙の主がザ・サン新聞社の読者に名を連ねて下さっていることに深く謝意を表したいと存じます。 編集者さま: 私は8歳です。 サンタクロースなんていないというお友だちがいます。 パパは「ザ・サン新聞社に確かめてごらん。新聞社ならわかるだろうよ。」と言います。 どうぞ私に本当のことを教えてください。サンタクロースはいるのでしょうか? ヴァージニア・オハンロン 西95番街115 ヴァージニア、君のお友だちは間違っています。 世紀末の時代のせいか、懐疑主義、何でもかんでも、正しいということがわかりきっていることまで疑いたくなる風潮がはびこっていて、その子たちはそれになびいてしまっているのです。そういった人たちは目に見えるもの、見て確かめられるものしか信じません。自分のちっぽけな頭で理解できないものは存在しないと考えているのです。 ヴァージニア、大人であれ子供であれ、人間の考えることなどすべて併せてもわずかなものでしかありません。この我らが偉大なる宇宙においては、人はほんの小さな昆虫、そう蟻のようなものです。人間が考えることといったら、この宇宙を創造し、人間を包み込んでくれる無限の世界と比べると微かなものです。本当のことや勉強や経験によってわかるようになることを、真理と知識をいうのですが、これらをすべて理解する能力においても全知全能に照らし合わせるとわずかなものです。 そうですヴァージニア、サンタクロースはいるのです。 サンタクロースは確かに存在します。愛と寛大と献身が存在するように。サンタクロースは子供たちが大好きで、良い子には気前良くプレゼントをくれるし、サンタクロースを信じて待っている子供のために世界中を走り回ってくれます。それはサンタクロースが子供たちに愛と寛大と献身を伝えることを神様から託されているからなのです。愛と寛大と献身が君の毎日の生活を最高に美しく喜びに溢れたものにしてくれるのは君も知っているでしょう。 ああ、もしサンタクロースがいなかったらこの世界はなんてつまらないでしょう。ヴァージニアのようにサンタクロースを一心に信じてくれる子供たちがこの世に一人もいないのと同じように味気ないものでしょう。でもここにちゃんとヴァージニアがいるのだからそのようなことはないのだけど。サンタクロースがいない世界では、純粋に信じることや、詩のように美しいもの、わくわくするような出来事がないのと同じです。こういったものが私たちの毎日を成り立たせてくれているというのに。それでは触ったり、目で見たりすることでしか喜びを感じないということになってしまいます。こどもの世界を絶えることなく輝かしてきた光が消えて、無くなってしまうことになってしまいます。 サンタクロースを信じないなんて!妖精を信じないのと同じじゃないですか!パパに頼んで、人を雇って、クリスマスイヴに煙突という煙突を一つ残らず見張ってサンタクロースを捕まえようとしてもいいのです。けれど、もし降りてくるサンタクロースを見つけられないとしても、それが一体何になるのでしょう?サンタクロースを見た人はいません。けれどそれはサンタクロースがいないという証拠にはならないのです。 この世の中でもっとも大切なことは、子供にも大人にも見て確かめられないのです。芝生の上で妖精が踊っているのを見たことがありますか?もちろんないでしょう。けれどそれは妖精が存在しないことの証明にはならないのです。誰もこういった神秘的なものを思いついたり、想像したりできなくなってしまいます。そういったものはこの世界では見えなかったり、見ることができなかったりするのです。 赤ちゃんのがらがらをバラバラにして、内側で何が音を作っているのかを確かめてもいいけれど、それは目に見えないベールに覆われていて、一番の力持ち、それどころかそういった歴代の力持ちの力を集めても引き裂いて確かめることはできないのです。 信じること、空想すること、詩のように美しいものを味わうこと、愛すること、そしてロマンに胸躍らせることだけが、そのカーテンを押しやることができるのです。そしてはるか彼方に天上の美と栄光の光景を目にして、心に描くことができるのです。「それらは全部本当のことですか」って?ああヴァージニア、この世の中のことはすべて本当のことで永遠に続くものなのです。 サンタクロースがいないなんて!ありがたいことに、サンタクロースは生きています。永遠に生き続けるのです。今から千年の後、いいえヴァージニア、一万年を十回繰り返えした後も、サンタクロースは子供の世界の住人の心に喜びを与え続けるのです。 くるみもち訳 これはニューヨークのザ・サン新聞社の有名なサンタクロースの社説です。私のもう一つのサイト「趣味の英語」の中でこの原文 を取り上げました。(「趣味の英語」の移転先にリンクしなおしました。2015.2.18.) そしてこのブログの12月8日から12月16日にかけて解釈を試みました。私の英語の知識から考えるとなんと無謀なことだったでしょう。8歳の子供への返事とはいえ、百年前の含蓄に富んだこの社説は私には手強い相手でした。なかなか進まなかったり、解釈が二転三転したりしましたが、なんとか最後まで辿り着くことができました。これもみなさんのお蔭です。読んでくださったみなさんありがとうございます!その上、コメントを下さった方々に感謝します!! その中でも解釈のアドバイスだけでなく、連日辞書を繰って文法の確認をとってくださったポンチョ♪さん、関連するさまざまなトピックを見つけてきてくださったriri_55さんには、なんとお礼を申しあげればいいのでしょう。こんなに喜びに満ちて英文を読んだことがありません。趣味の英語が縁で、この豊かなひとときを過ごせたことは決して忘れません。(記憶力の衰えは甚だしいものですがこれは大丈夫!) それから、今回訳していて、サンタクロースは子供に対する神の化身(姿を変えて現れること)なのだと思いました。サンタクロースを信じることは神の存在を信じること。神と呼ぶことに抵抗があれば、人間を上回る絶対的な存在。絶対的な存在を認めると言うことは、自分はちっぽけなものであると認めるということ、生かされていると考えること。あらためて今の私に必要なものだと思いました。 I believe in Santa Claus. 最後に、英語のSayingを一つ紹介させてください。このブログを読んでくださった方にささやかなクリスマスプレゼントです。 “Believe and receive - doubt, do without” これは英会話レッスン中に先生が口にした言葉で、あとで詳しく解説していただきました。"proverb"(格言)のように出自がはっきりしていたり、広く知られてはいないけれど、個々の地域や仲間内で語り継がれてきた「言い習わし」とでも表現すればいいのでしょうか、そういった言葉を"saying"と言うそうです。 彼女は少女期をカトリック系の学校で過ごしたそうですが、このsayingは学校での宗教教育の土台となるものだったそうで、やはり、"believe in God"にちなむものだそうです。自分の能力を信じて努力すれば、受け取ることができる、疑えば実行しない。つまり受け取ることが出来ない。 なにやらドリフターズが昔彼らのお笑い番組で歌っていた歌を思い出しますが(歌詞の著作権は特に難しいので割愛します)、やっぱり自分の力を信じて取り掛からないことには決して実現しないと言う思いは同じだと思います。 私の今回の翻訳(?)も、訳したい、子供に伝えたいと言う気持ちから思い立ったのだけど、思いが通じて、助けられ励まされてついに出来たのだから、やっぱり、"believe and receive"です。 「信じれば授かる、疑えば叶わない」 私の訳、彼女は“Yes, that's perfect.”と誉めてくれたけど、甘すぎ? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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