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2007年06月26日
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カテゴリ:ブログ小説
★~自己破産・衝撃の告白…美雪~3話


 二人は罰が悪そうに顔をひきつらせ「美雪」おめでとうと言いながらもぎこちなく笑っていた。美雪らが店に着くともうママの弟らしき人物がビールを飲んでいる。あや子は青ざめた顔で保証人になっていただく奥本美雪さんですと紹介しているが、その男は美雪の頭の先から足元までやらしい目つき嘗め回し、挨拶もせず「奥本美雪さん、判子は持っている?」と一言。美雪はバックから判子を取り出すと、男は書類に鉛筆で丸をして、「ここと、ここと、書いて、判子はこことここ、印紙にも割り印を!」と鉛筆の先で指図したが、美雪はあや子のためならと住所、氏名、生年月日を書いて判子を押していた。男はそれを確認すると一言も話をせずに書類を鞄に入れて外に出て行った。美雪は、
「ママ、感じ悪い人!本当にママさんの弟さんなの?」と聞いたらママは黙り込んでしまった。あや子が、
「美雪ほんとうにごめん、感じ悪くて」
「ううん、別にいいけど~その高志さんは?」
「高志はトラックで青森に行っているから…」
「それでお金は?百万円は?」
「それは、今の人がやくざに顔が利くので持っていってもらったの」
「まっいいか!これで一件落着、ママ今日は私のおごり…さっ飲も飲も~」

 あや子は、何かから吹っ切れたようにカラオケを熱唱している美雪に自分自身が初めてクレジットカードを手にした時とまったく同じとため息をついて理恵を見ると、理恵もその目だけでその意味がわかっていた。あや子がクレジットカードをほしいと思ったきっかけは、先輩のOLが数種類のカードをあや子に見せながら、このカードは海外旅行用、国内の買い物はポイントが倍付くカードと自慢していることが何か大人の社会らしさだと感じていたからだ。そんなころ会社が主催するおしゃれ関係の講演会にかりだされて、帰り際もらった各種商品のサンプルやカタログが一杯つまった袋の中にAAFクレジットカードの申込書が入っていた。
 あや子は当時山科の自宅に両親と兄と住んでいた。父は銀行員だが自分の銀行のクレジットカードさえ絶対使わないカード否定主義者で、兄がまだ中学生のころから事あるごとにカード地獄の怖い話を自分の関わった事件の経験を言い聞かせていた。このAAFカードの申し込みには自宅の住所、電話番号を書かなければならないから当然、自宅にカードの請求書が送られてくるから家族に見つかる。あや子はそれにもう一つ欲しいものがあった、それは携帯電話でフラワー本社OLのほとんどが持っていた、父親はその携帯電話も否定して反対していた。
 
 フラワーに入社して二年目の春、両親の反対を無視して自分のお金で権利金や礼金、それに家賃も払うのだから何が悪いと泣き叫んでいた。その姿に根負けした父親はそ
れなら自宅の近所のマンションなら良いと許可を出していた。保証金と前家賃、それにおしゃれなベッドと家具を一通り買い揃えると二年間貯めた貯金が底をついていたが、あや子の頭の中にはAAFカードがちらついていた。今の美雪と同じように手取りわずか十四万円の給料でも月々一万円なら通帳から引き落とされても十分支払いが出来ると思いながらわずか二ヶ月でキャッシングの二十万円、シヨッピングの三十万円を消化していた。
 理恵も、あや子のクレジットカードに刺激されて同じ時期にAAFクレジットカードを申し込んでいる。当時理恵は二十歳で三つ年上のフラワー野球部の長崎研二が好きだった。研二は野球部のキャップテンとして京都社会人野球でしばし活躍して新聞やテレビでも人気があり、その研二を他の女性に取られないうちに誘惑する手段としてどうしてもお金、つまりクレジットカードが必要になっていた。研二とのデート費用のすべてを理恵が持ちながら研二が自分をラブホテルに誘うのを心待ちにしていたが研二はその素振りも見せなかった。
 
 理恵は高校一年の時三年生の先輩に処女を奪われていた。それから一年はその先輩とことあるごとにセックスを楽しんでいたが、その先輩が理恵に何の相談もせず東京の大学に進学したことに愕然となりその腹いせに、同じ高校の不良グループと行動を共にして遊び感覚で仲間に惜しみなく身体を与えていた。
 理恵の身体はフラワーに入社したころにはすでに大人になっていたが、そんなことをおくびにも出さず清純派としてフラワー社内では人気がありその自信から研二にアタックし続けてやっと研二を手に入れた時にはクレジットカードを四枚も消化していた。その苦労して手に入れた研二のセックスは大人になっていた理恵にはものたらず理恵の方から別れていった。


  「携帯電話のおまけ」

 美雪がクレジットカードを手に入れてから一年が経ったある日、食堂前に机が並べられて展示即売会が開催されていた。この展示会はほぼ毎日のように開かれて靴は鞄、化粧品から自社のブラジャーからショーツまで格安で売られてローンも受け付けていた。今日は大手電話会社の代理店のラッキー社が今回に限り、カメラ付き携帯電話に機種変更される方は番号そのままで千円ポッキリ価格と大きな声で宣伝していた。さらに、
「今日契約された方には、もれなくラッキークレジットカードを年会費無料で今日の夕方五時にお渡しできます~」
 いつものように美雪を真中にして食事をしていた三人は目を見合わせ、申し込もうと合図をしていた。そしてその夕方新しいカードを受け取るために三人は食堂前に待ち合わせをしていた。それぞれのカードを受け取ると美雪が、

                 つづく


★~新連載のこの小説はHシーンなどもあるが、基本的には社会派小説になっています。多重債務者は300万人とも…さらにその予備軍は1000万人とも…若い女性なら誰でも陥るこのお話を広めていただきたいと書きました。

★~ケータイのカメラで撮った写真掲示板は、
http://blue.ap.teacup.com/inari/

★~昨今、フリーペーパーという無料の新聞や雑誌が多く発行されています。これも一つの作品の発表の場と考えています。もし、よろしければ私のつたない作品(小説・コラム・エッセイ)等々を原稿料無料で掲載させていただければ幸いです。尚、ご連絡はメールにてお願いします。(音川さくら)
kyotoinari@ex.biwa.ne.jp





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最終更新日  2007年06月26日 10時08分01秒
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