今では随分といい加減なところもある私ですが、もっと若いころにはいつも『ちゃんとしなきゃ』と気を張っていました。
自分なりに分析するに、母親がなかなか厳しい人であることと関係が深いかと思います。
『ちゃんとしなきゃ』に続くセリフは、たぶん『お母さんに怒られる』なんです。
成人して、就職して家を離れて、結婚して、子どもができて、年もとって…
<あんなこと・こんなこと>も経験して、「まぁ、なんとかなるよね~」と、今では心身共にどっしりしております
おかげ様で、ゆるりと楽になりましたが、今でも時折「ちゃんとしなきゃ」病は顔をだします。
仕事でも、人間関係でも、誠実に向き合うことはとても大切です。
でもそれは、『ちゃんとしなきゃ』と自分を縛り付けて頑張ることではなくて、愛をもって取り組むことなんですよね。
私と同じ理由じゃなくても、様々な要因で、「ちゃんとしなきゃ」の思いに縛られている方多いと思います。でもきっと、それは人間だけのことで、だからこそ人間らしいのかもしれないけど、やっぱり「ほどほど」にしましょうね。
映画「ぐるりのこと」(2008年公開)のなかで、木村多江さん演じる心を病んでしまった妻が「ちゃんとしたかったのに…」という言葉を、涙ながらに繰り返すシーンがあります。
その辛さがわかるだけに、私も涙がこぼれたけれど、心の中では「そんなにちゃんとしなくていいんだよ。ただ生きていればいいんだよ。なんとかなるんだから」と語りかけていました。
植物も動物も、きっと「ちゃんとしなきゃ」とは考えないと思います。
人間って、めんどうくさい。
「めんどうくさいけど、いとおしい。いろいろあるけど、一緒にいたい。」
映画「ぐるりのこと」のキャッチコピーです。
本当にそう思います。
この文を書いているうちに、久しぶりに見たくなりました。