カテゴリ:一次重点科目-1.企業経営理論
昨日、大相撲の横綱朝青龍が幕内力士の安美錦に外掛けで敗れました。「大企業も独自能力を持つ中小企業に敗れることがある」との証左でしょうか。
また、三連休なので5設問ある企業経営理論の第8問です。 問題-企業経営理論第8問 次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。 1960年代半ばの米国上場大企業では1.経営者支配の会社が数多くなっていた。ところが、1960年代後半には一転して第3次企業合併ブームと呼ばれるほどにM&Aga活発化した。当時のM&Aは2.関連性のない企業を買収するものが多く、これによって一挙に巨大な会社が誕生することがみられた。1970年代になると買収にかわって、3.事業分割による事業売却が多く見られるようになった。買収にしろ売却にしろ、米国では企業や事業の売買は日常的になり、1980年代半ば頃には、株式市場は4.企業価値を最大化するための事業ポートフォリオの組み換えの場となったのである。 (設問1) 文中の下線部1についての説明として、最も適切なものはどれか。 ア 一般株主が取締役を解任できないほどに広範囲に株式所有が分散し、専門経営者が経営権をもつようになった会社をいう。 イ 金融機関や事業会社などの法人によって株式が所有され、株主に代わって法人株主が専門経営者を任命するようになった会社をいう。 ウ 専門的な経営能力をもつ大株主から選出された取締役が、取締役会の過半数を超え、経営権を掌握するようになった会社をいう。 エ 従業員から取締役を選び、彼らに経営を委託する会社をいう。 オ 従業員に創業者一族がいなくなった上場大企業をいう。 (設問2) 文中の下線部2のような多角化は何と呼ばれているか、最も適切なものを選べ。 ア アマルガメーション イ コングロマリット化 ウ コンソーシアム化 エ ストック・ホールディング化 オ レバレッジド・バイ・アウト (設問3) 文中の下線部3のような現象がみられるようになった背景として、最も不適切なものはどれか。 ア 戦略的提携がM&Aに代わって登場してきたので、M&Aga下火になった。 イ 多様な現業部門を知の通わない数値データで管理する傾向が強くなって、経営成績が上がりにくくなり、多角化のコストが上昇した。 ウ 買収した異業種企業の統一的な管理が難しくなり、管理が困難な企業や事業を切り捨てた。 エ ファンド・マネージャーやファイナンス専門家が企業価値を厳格に評価するようになり、被買収企業の業績が短期的に問われるようになった。 オ 無秩序な買収の資金コストの負担を軽減するために、売却可能な事業を切り売りした。 (設問4) 文中の下線部4のような企業価値の考え方は米国の資本主義の性格ともいえるが、それがもたらした現象の説明として、最も不適切なものはどれか。 ア 各種のファンドや投資会社がM&Aを繰り返しながら投資収益の増大を追求したので、株式市場が活性化した。 イ 資産と負債の総合管理(アセット・ライアビリティー・マネジメント:ALM)を重視した経営が展開されるようになり、資産の運用リスクが高まった。 ウ 小規模企業でも金融機関からM&A資金を簡単に調達できたので、M&Aを通じて大企業を手に入れて新興大企業にのし上がることが見られた。 エ 短期的な利益志向を強め、企業の持続的な成長を支える組織的な経営能力は軽視される傾向が強まった。 オ 買収によって一株あたり利益を高め、上昇した株価をてこに新たな資金を調達して、次の買収を行うという企業価値追求がみられるようになった。 (設問5) 1990年代までのわが国では米国に比べてM&Aは非常に少なかった。この説明年として最も不適切なものはどれか。 ア 1957年の資本自由化を契機に株式の相互持ち合いが進み、買収に必要な株式取得が困難になった。 イ 財閥が復活し、その系列企業の結束が固くなって、買収ができない状況になった。 ウ 終身雇用に代表される日本的経営が強く、M&Aを嫌悪する経済的、社会的機運が強く存在した。 エ メインバンク制による系列融資が企業間の結束を強めたので、系列への外部からの参入を阻止できた。 オ わが国では米国のような株式市場の整備が不十分であり、M&Aを目的としたファイナンス会社も少なかった。 コメント TBCの解答解説によると、試験委員の塩次喜代明氏が高橋伸夫氏、小林利雄氏と共著の「経営管理」有斐閣アルマからの出題らしいです。「経営管理」は一次試験前に購入していたが、読む余裕はなかったので、これからじっくり読むことにしよう。読んでいなくても、全問正解できたが、アメリカ経済や多角化の設問2や企業価値で出てきた英語を全く知らないと焦ることになります。 したがって、アメリカの会社が役員に与えている称号をみることにします。知っておられる方も多いでしょうが、お付き合いください。 一番のトップは、会長職であることが多く、CEO(Chief Executive Officer)、日本語訳は最高経営責任者といい、主な仕事は、戦略策定と経営方針決定です。二番目のトップは、社長であることが多く、COO(Chief Operating Officer)、日本語訳は最高業務執行責任者といい、日常業務を執行するうえでの最高責任者です。彼らを支えるボード・メンバー(取締役)として、他社の会長や社長などの社外取締役がいます。通常は、社内取締役数よりも社外取締役数の方が、多いです。取締役のケースもあれば、単なる社内の経営幹部のこともありますが、財務・経理を担当するCFO(Chief Fnancial Officer), 最高財務担当責任者、CIO(Chief Information Officer), 最高情報責任者、CTO(Chief Technology Officer), 最高技術担当責任者、CCO(Chief Compliance Officer), 最高コンプライアンス担当責任者等がいます。それぞれの専門家によって、社内のマネジメント・コミッティー(経営委員会)は構成されています。 中小企業では、社長や経営トップがこれらの役割を果たしていますし、彼らに対して、経営の助言・指導をするには、当然のごとく、業務のみならず、彼ら役割の基本を基本を押える必要があります。 企業経営理論、運営管理(オペレーション・マナジメント)、財務・会計、経営法務、経営情報システムに精通する必要がありますし、中小企業経営・政策と経済学・経済政策を加えた7科目が試験科目なのは、至極明解です。 正解は、診断協会のHPの通りで、設問1-ア、設問2-イ、設問3-ア、設問4-イ、設問5-イ となります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2005.09.22 22:11:23
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