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カテゴリ:日記
先日、M音大での実技試験がありました。
生徒が1人大学にいるのですが、彼女は学部生ですがオペラコースに選抜されて先輩たちの中に入って毎日鍛えられています。 大学ならではの縦社会というのは厳しいもので、新参者の彼女にとっては毎日がかなり大変で、4月からほとんど眠る間も惜しんで勉強する毎日が続いていました。 その疲れがたまったのか、実技試験の前の週にとうとう身体を壊してしまったのです。 もともと細い体なのに4キロも体重が落ちて、息が続かなくなってしまい声量も落ちてしまいました。 それでも試験は容赦なくやってきます。 オペラコースの課題がモーツァルトだったことと、彼女の忙しさで万が一喉の調子をが悪くなった時の事を考えて前期試験はモーツァルトのオペラアリアを選ぶことにしました。 モーツァルトはポジションさえきっちりと掴んでいればよほどのことがない限り歌い切る事ができるからです。 案の定、試験前に体調を崩した彼女は声量で勝負することはできなくなりました。 人間、元気な時には多少喉に無理もききますが、そうでない時にはかえって間違った歌い方をすると声にならなくなるので基礎に立ち返って歌う事ができるのです。 減った体重を重りを身体に付けて調整して支えの確認をして、ギリギリまで響きの高さと共鳴点がずれないように心がけて練習を続けた結果、今日、試験の結果が出たと連絡がありました。 無事に成績優秀者の選抜コンサートに選ばれたという嬉しい知らせでした。 試験前の最後のレッスンで彼女がにっこりと笑って言ってくれました。 「先生、もうだめかと思ったけれど体調を崩して良かったです。」 体調が悪い時に演奏するという事はいい意味でも悪い意味でも勉強になります。 自分の体調管理ができなかった事を心から反省できますし、もし演奏がうまくいけば自分の自信にも繋がります。そして次回同じようなトラブルがあった時に冷静に対処できますし、指導者になった時に同じトラブルにあった生徒さんに適切な指導をすることができます。 ピンチはチャンスなのです。 今回のピンチは彼女にとってきっと忘れられない出来事になったことでしょう。 またひとつ、強くなった彼女の笑顔を見て私もとっても嬉しくなりました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010.07.23 00:51:21
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