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FFいれぶんのへたれな小説とか

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February 26, 2005
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 深手を負った腹部に、温かい感触が広がる。パクの治療魔法だ。まどろんでいくような、心地よい感覚。
 ぼんやりと、辺りを見渡す。壁にもたれかかったユウイチの姿。目をつぶり、懸命に傷を癒すパク。敵の姿の消えた広間を、上り始めた朝日が静かに浮かび上がらせていた。
「……結局、アレはなんだったんだ?」
 ぼんやりと虚空を見つめながら、ユウイチがつぶやく。
 死者の墓守。その目的も、もはや知るすべは無い。詠唱を終えたパクが、ゆっくりと身を引く。
「あの者は、生前さぞ名のある騎士だったのでしょうな。その墓に、かの者にとって大事な魂が眠っているのかも知れません」
 ナギサの手の中には、薄汚れたティーカップがあった。DSの失せた空間に、いつの間にか転がっていたカップ。そっと泥を落とすと、一頭のグリフィンの描かれた装飾が、その表面に浮かび上がった。
「パク、あなた、何か知ってたんじゃないの?」
「……」
 そう思ったのは、ただの勘だった。パクは目を閉じ、小さな墓の前に佇んでいる。
「死者は眠るのが世の理。大戦は、20年も前に終わったのです」
 パクはそっと、墓標に手を合わせる。それに合わせ、ナギサは目を閉じた。
 20年前、大陸全土を巻き込んだクリスタル戦争。理不尽な戦争は、墓標に名を刻みきれないほどの命を奪った。生き残った人々は惨劇を憂い、そして今もその傷痕を心に残して生きている。それはきっと、あの老婦も。
「墓を守るくらい、生きている者に任せてくれればいいのです」
 目を開く。朝日が、視界を一瞬埋め尽くす。
「人は何かを忘れることで生きていけます。しかし、過去を失うわけではありません」
 そっと、手の平に何かが置かれた。すすけた麻袋の重み。DSの残した、ウィンダス茶葉の小袋。
「時として、過去は辛いものです。何よりも重い。しかし、自分を過去のものにしてはならないのです」
 見上げたパクの顔は、今にも泣きだしそうに笑っていた。
「小生は、これからもここの墓を守っていきます。あなた方前途ある若人には、未来を作っていただきたい」
 ゆっくりと、身を起こす。傷を塞がれても、まだ全身は苦痛を訴える。それでも、ナギサはカップと小袋をそっと握り締めながら立ち上がった。
「皆様の過去と未来に、アルタナのご加護がありますよう……」
 うやうやしく一礼するパクに別れを告げると。
 ナギサとユウイチは、朝日に染まる龍王の墓を後にした。





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Last updated  February 28, 2005 08:32:27 AM
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