カテゴリ:読書について
カモメに飛ぶことを教えた猫 偶然の出会いだった。 借りた本を返しに寄った横浜市立図書館・山内図書館で いつものように書棚の間を回遊していた。 「海外の文学」棚の前を通り過ぎようとした時、 ふと、タイトルと「目」が合った。 ・・・というより、棚から滑り出してきた感じだった。 程なく私の手の中に収まったこの本は とても読みやすい大きさの活字だった。 冒頭の謝辞には、著者の子どもたちへ向けてのメッセージ。 これは面白そうと、そのまま貸出カウンターへ向かった。 この間、わずか数十秒。 【内容情報】(「BOOK」データベースより) ハンブルグの港町に住む黒猫のゾルバとその仲間の猫たち。 それぞれ強烈な個性を持つキャラクターである。 この作品は彼らが創造された時点で、 ほぼ80%完成したのではないだろうか。 そのくらい、存在感があり物語を引っ張っていく。 物語の創作における登場キャラクターの出来は 物語の力、すなわち読者を作品世界に引きずり込む力に 決定的な影響を及ぼす。 想像で作ったとは思えないほど生き生きと活動する この本の猫たちを追いかけているうちに ファーストフードの店内にいることも忘れ、 他のお客がいたにもかかわらず声を立てて笑い、また涙した。 本との出会いも偶然なら、 その本がこんなに楽しかったというのは もっとすごい偶然だ。 だから図書館はあなどれない。 利用頻度が低い本でも、発行年数が古くても、 一人一人が求める本は違うのだから 図書館や書店の選書はよくよく考えて欲しい。 今年は、国民読書年。 電子ブックの隆盛で活字離れが拍車をかけている感じだが、 こんな時こそ、印刷の本はこんなにすごい、こんなに楽しい、と 本の魅力を一番よく知っている(はずの)図書館員や書店員が 声を大にして叫んで欲しい。 棚が語りかけ、棚から本が飛び出してくるような すてきな棚づくりをして欲しいものだ。 ちなみに、電子ブックを読むことも「読書」だろうと 大方の人は思うだろうが、それはご自由に。 Lukeがそうとは思わないだけ。 だいいち、一番面白いヤマ場で電源切れたらどうすんの? そんなの、まっぴらごめんです(笑) 【1/31追記】 この作品について大事なことが抜けてました。 それは、母カモメが死んだ原因。 船舶から原油が海に不法投棄され、 油にまみれて飛べなくなってしまったのです。 母カモメの油と格闘する姿、 猫たちが瀕死の母カモメを救おうとするシーンは あまりに無惨で悲しい。 猫たちの人間に対する怒りのことばに込められた著者のメッセージは 深いものがあります。 環境問題に関心のある方、ぜひ読んでみて下さい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年01月31日 19時29分42秒
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