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カテゴリ:三十一文字の刹那
ねえ、あたしのこと覚えてる?
大量のテキーラと脳髄に響く重低音。 虹色の光をばらまくその空間に行くと、 私はあの人を思い出す。 最後にキスをしたのはその場所。 お風呂上りにアロマキャンドルを焚く。 マッサージオイルでマッサージをすると、 私はあの人を思い出す。 私を優しく包む腕はもうないけれど。 いつも見慣れた帰り道。 ふと振り返ると、 あの人が私笑って立っているようで・・・ いつもの部屋にいつもの自分。 そう思っていたけれど、確実に違うものもある。 一つ一つの恋に納得していないわけじゃない。 「私には合わなかったの」 その一言でいろんな事を片付けた。 何度も泣いたけれど、私は今、一人で息をしている。 あの人が隣にいなくたって、笑っていられるし、生きていられる。 所詮他人なの。 だから私は大丈夫。 でもね、ふと思うの。 ねえ、私のこと覚えてる? そして時々は思い出してくれてる? 奇跡のような確率で出会ったはずなの。 だからすごく大切にしたかった。 でもね、 あなたが今何をして、 あなたが今何を考えているのか、私にはわからない。 過ぎ行く時間の中で、いろいろなものが変化してゆく。 なのに、ちっともあなたとの思い出が、私の心の中から消えていかない。 だから気休めにつぶやくの。 あなたの心の中にちゃんと私との思い出がありますようにって。 それがただ私に切なさとむなしさを残すだけってこと十分わかっているのに。 あなたの家の駅に降り立って、何事もなかったように歩く。 未練だけがバカみたいに私にまとわりつく。 乗りなれたあなたの車の助手席に私のしらないグロスがぽつん さよならは、時に一方通行なの。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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