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青空のように

青空のように

植木等氏 追悼

昨年12月、青島幸男氏の葬儀でのお姿を拝見した時から、覚悟はしていましたが、いざ実際逝去されたニュースを聞かされると、いいようのないショックを覚えました。
植木さんの偉大さは、もう若い世代にはわかりようもないかもしれません。
「しゃぼん玉ホリデー」は残ってないし、映画で本当に優れているのは、「ニッポン無責任時代」だけですし。
しかし、音楽は現在でも聴く事ができます。
「無責任一代男」に始まる傑作の数々は、永遠に色褪せません。
高度成長期真っ只中、額に汗して働くことが美徳であった時代(それは搾取する側から都合がよかったのでしょう)、それが企業側の論理であることを見透かしたように薄笑いをうかべ、ステテコちょびひげ姿で、「こつこつやるヤツぁゴクローさん」と歌った植木さんの、キラキラ輝く姿は、いくら賞賛しても、し足りないカッコよさでした。。植木さんが実直・勤勉な方であることを知っているとなおさらです。

ずいぶん昔、NHKで父君、植木徹誠氏の特集を見て、むちゃくちゃに感動したことを思い出します。
三重県の田舎の住職であった氏は、出征する若者を前に、「死んではいかん、必ず生きて帰ってくるように」と語り、そのたびに官憲に引っ張られた。しかし何度捕まっても、「お国のために、りっぱに死ぬように」とは言わなかったのです。

今夜は、植木さんを偲んで、大瀧詠一プロデュースの「植木等的音楽」を聴くことにします。
大瀧氏の、植木さんに対する尊敬の念が圧倒的な名盤です。
ビング・クロスビーのようなクルーナーになりたかった植木さんが、気持ちよさそうに歌う大瀧作品のカバー「ナイアガラ・ムーン」には、きっと泣いてしまうでしょうが。
植木さん、お疲れ様でした。ゆっくりお休みください。
あなたがいなければ、僕らの人生の何パーセントかは、確実につまらないものになっていたでしょう。
心より、心よりご冥福をお祈りします。


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