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テーマ:’70年代の洋楽について(20)
カテゴリ:音楽
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バック・ナンバーはこちらでご覧になれます 【ブルースの記念碑的一枚】 曲目 1.Thunder Road(涙のサンダー・ロード) 2.Tenth Avenue Freeze-out(凍てついた十番街) 3.Night(夜に叫ぶ) 4.Backstreets(裏通り) 5.Born To Run(明日なき暴走) 6.She's The One(彼女でなけりゃ) 7.Meeting Across The River(ミーティング・アクロス・ザ・リバー) 8.Jungleland(ジャングルランド) ブルース・スプリングスティーンの記念碑的アルバムが1975年に発売されてから、今年で30年が経過した。このアルバムのヒットで彼の存在は、もう一つ上のクラスになった。それまではホームタウンのニュージャージーや、その近辺では彼のライヴは評判を呼んでいたが全米規模とは言えなかった。 ブルースのこのアルバムの前の二枚に大ヒットの兆しはまだなかった。そこで三枚目のこのアルバムで、彼はステージの熱気をそのままスタジオに持ち込むことを考えて作った。 結果として難産の末に誕生したこのアルバムからは、「Born to Run」「Thunder Road」というその後の彼のキャリアには欠かせない曲が誕生し今でもファンに深く愛されている。 この30周年記念盤にはデジタルリマスター化として、今回新たに当時のレコーディングの様子をブルースとメンバー達が語るドキュメンタリーと秘蔵ライヴ映像が合体して発売された。 【30周年記念盤について】 Bruce Springsteen and the E Street Band: "Hammersmith Odeon, London '75" 1.Thunder Road 2.Tenth Avenue Freeze Out 3.Spirit In The Night 4.Lost In The Flood 5.She's The One 6.Born To Run 7.The E Street Shuffle/Having A Party 8.It's Hard To Be A Saint In The City 9.Backstreets 10.Kitty's Back 11.Jungleland 12.Rosalita 13.4th Of July Asbury Park (Sandy) 14.Detroit Medley ~Encore~ 15.For You 16.Quarter To Three 今回の30周年記念ボックス盤の最大の目玉は、DVD映像による1975年11月18日のライヴ映像だ。これは彼にとって初の海外公演となる、「ロンドン・ハマースミス・オデオン」でのライヴ映像を「ノーカットで完全収録」したものであり彼の当時のステージを知ることが出来る貴重な映像だ。 ステージの様子は、これを収録した当時の英国の放送局が急遽収録を決めたそうでステージ照明だけなので画面は多少暗い。だが裏返せば、自分も会場にいるかのような雰囲気に浸れる訳だ。30年前とあってブルースもまだまだ体つきが華奢で、白いスーツに身を包んだクラレンス・クレモンズ(サックス)の巨体とは対照的だ。 セットリストは見ていただくと分かるが、当然「Born to Run」発売後のツアーなのでそのアルバムからの曲と、以前の2枚のアルバムから選ばれている。その後のブルースのライヴでは定番となる「Detroit Medley」が既にアンコール前の曲として披露されている。 時間は2時間だが、最近のブルースの特徴である3時間超のライヴからすると短い?かもしれないが当時は2時間は短い部類ではないはずだ。映像から感じるのは、ステージからのトークが殆どなく演奏を畳み掛ける構成だからやむを得ないだろう。 ステージを映すカメラが袖にセットされていたそうで、ブルースの表情は残念ながら横からの角度が主だ。だがまだ若かりし時代のブルースは、既にアメリカでEストリート・バンドを従えてライヴ慣れしているせいか、緊張感の中にも息はピッタリでロンドンのファンも堪能できただろう。映像からは客席の様子が一切分からないが、曲が進むにつれ歓声が増してきているのは分かる。 アンコール1曲目の「For You」だけはブルースのピアノ弾き語りで、バンドメンバーは演奏に加わっていない。この曲は通常バンド形式での演奏を私は知っているので、ブルースがピアノ演奏をステージで披露(スタジオではリハーサルで演奏するそうだ)するのは珍しい。「Quarter to Three」で2時間のステージは幕となる。 このアルバムは限定発売とのことらしいので、ファンなら早いうちに入手しておきたい。彼の初期のライヴが映像で完全収録盤が残っていたなんて信じられない。日本のファンは当時の彼のライヴをしらないので、私もこの映像を食い入るように見た。 【アルバム/明日なき暴走の制作秘話+ボーナス映像】 「Wings For Wheels:The Making Of Born To Run」 ここでは「明日なき暴走」の制作秘話が約90分に渡って語られる。現在のブルースと、当時のメンバーやスタッフが思い出話を語る構成。だが貴重なのは、当時のレコーディング模様の映像が残っている点だ。これに今のインタビューが重なるどちらかと言えばマニア向け構成。 これには日本語字幕が付く。それによるとこのレコーディングに背水の陣で臨んだことが分かり、プレッシャーを感じながら一切の妥協を配して完成させたかが分かる。 ボーナス映像 1.Spirit In The Night 2.Wild Billy's Circus Story 3.Thundercrack DISC3のこのレコーディング秘話には、ボーナス映像として貴重な3曲が収録された。何が貴重かと言えば、DISC2のロンドン公演は1975年11月のライヴであるのに対し、こちらは1973年5月のロスのAhmanson Theater(アーマンソン・シアター)での演奏。ロンドン公演から遡る事2年半前の映像で、恐らくこれが現在のところ最古のライヴ映像であろう。 この当時はEストリート・バンドのメンバーは、キーボードとドラムスが代わっている。23歳のブルースのエネルギーが感じられるし、2曲目の「Wild Billy's Circus Story」は得意の弾き語り調でボブ・ディランの影響も多少感じる。この曲はビリーの物語であるが、ブルースはステージからファンに向けて「今度、マジソン・スクエアー・ガーデンでライヴをすることになった。誰かオレの楽屋を尋ねて来たら、あなたの事を曲に置き換えて披露するぜ!」と喋っている。 残念ながら盛り上がっている3曲目のラストが多少F.O.気味なのは不満だが、是非ブルースの初期の息吹を感じて欲しい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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