滋賀県と平和堂【滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・愛知】
前回取り上げた住民基本台帳人口移動報告、・大阪圏では8555人の転出超過(転出超過数は前年比2588人減)という数字を見ると、「転出超過数大幅減=人口流出に急ブレーキ」という感じがしますが、ここでの大阪圏は、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県を指しています。何かおかしい、と個人的には思います。そう、大阪圏に滋賀県が含まれないのは不適切、いうのが私の実感です。(細かいことを言えば兵庫県・京都府の北部や奈良県の南部が含まれるのも不適切だとは思いますが、統計が都道府県単位という制約を考えるとやむを得ません。)これは、通勤時間帯に滋賀県内から京都・大阪方面に向かう電車に乗ればよく分かります。冬にはしばしば一面の銀世界になる彦根や能登川あたりで、12両編成の新快速を待つ通勤客が降りしきる雪の中でホームの端まで列を作っている姿には感動すら覚えます。そして、草津付近のベッドタウン化の勢いには通るたびに驚かされます。駅前にも、商店街の真ん中にも、高層マンションが続々と出現しています。そこで試みに、大阪圏に滋賀県を含めて再計算してみると(データはhttp://www.stat.go.jp/data/idou/2009np/kazu/index.htmの第2表参照)、7471人の転出超過(転出超過数は前年比797人減)という結果に。転出超過の絶対数も小さくなりましたが、転出超過数の減少幅はそれ以上に小さくなっています。つまり、滋賀県のベッドタウンへの転出者が減ったことが大きく影響して、大阪圏の転出超過数は減ったものの、大阪圏に滋賀県を含めた全体では転出超過数はさほど減っていない、という解釈が妥当なように思われるのです。ちなみに、5府県それぞれの転入超過数(H19→H20→H21)は、滋賀県:+3,030→+2,875→+1,084京都府:-4,337→-3,269→-3,601大阪府:-4,952→-3,568→-2,273兵庫県:-1,437→ -114→ +203奈良県:-4,920→-4,192→-2,884滋賀県はH19・H20で唯一の転入超過、H21も絶対数は大幅減ながら次点の兵庫の5倍以上の転入超過数。これでも大阪圏に滋賀県を入れないのは、滋賀県・大阪圏双方の正当な評価を妨げているような気がします。しかし、奈良県は人口が少ない(最近滋賀県にも抜かれた)にもかかわらず転出超過数が5府県中1位か2位、というのはいささか衝撃的です。調べてみたら奈良市ですら人口減に転じていて、増えているのは生駒市や香芝市といった大阪府に隣接しているところに限られるようです。南部には過疎化が進む広大な山間地を抱えているだけに、奈良県の今後が心配です。---------------------------------------------------------------------------さて、滋賀県といえば、平和堂。東海道線で滋賀県内を通ると、1駅に1店以上の割合で二羽のハトのマークを見ることができます。それもそのはず、2府7県に展開する124店舗のうち69店舗が狭い滋賀県内にある、という圧倒的なドミナント戦略を実践しているのです。http://www.heiwado.jp/profile/gaiyo.htmlhttp://www.heiwado.jp/profile/tenpo_top.htmlこれほどまでに地域において圧倒的な存在感のある小売企業は、他にないような気がします。そして、郊外型店舗を展開しながらも、中心市街地の大型店舗もきちんと維持しているところが、平和堂の立派なところだと思うのです。この店構えを見て思い出したのが、今は亡き一宮のグランドタマコシ本店。経営破綻したタマコシを平和堂が支援すると発表された時、(当時名乗りを上げていたバローではなく)平和堂なら本店も引き継いでくれるかも、と淡い期待を抱いたことを記憶しています。結局タマコシ本店は建物の老朽化もあって引き継がれず閉店となりましたが、愛知県内でも小牧市の中心部にある再開発ビルのイトーヨーカドー撤退跡に出店するなど、地域のまちづくりに配慮した店舗政策は健在のようです。平和堂は「地域社会へ尽くす」企業を目指します、というウェブサイトのロゴに掲げられた理念も、こうしたところに感じることができるような気がします。http://www.heiwado.jp/