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カテゴリ:フランス料理の文化と歴史
「レストラン」という言葉、もともとフランス語であるが、現在の日本では多くのの飲食店、西洋料理店を指して言う言葉となっている。「ファミリーレストラン」「中華レストラン」などなどである。
実は「レストラン」とは元々料理の名前であった。ポ・ト・フから作られるビーフブイヨンに似た濃厚なスープの一種を「レストラン」と名付けて売られ出したのが、18世紀半ばの事である。 その名に「rest=休息、の意」が含まれるように「疲労回復、元気の素」が売り文句のその料理、「当店にてレストラン販売しています」の看板を掲げていた。当時、旅先でどこかに泊まるといった必要でもない限りは「外食」するという概念が生まれはじめた時代の事である。いつしか飲食店そのものを「レストラン」と呼ぶようになったのだ。 そして1789年のフランス革命。フランス革命は料理人の世界にも大きな影響をもたらした。 それまで貴族に仕えていた料理人、メートル・ド・テルは貴族と共に亡命するか、または貴族の館を出て街で料理人としての職を得るかの選択を迫られた。これを機会にフランス国内ではまた多くの「レストラン」が開店することとなる。 フランス革命で貴族制度を廃止したフランス国民であったが、レストランではフランス貴族の食卓が再現され、またいままで貴族以外は口に出来なかった食事の数々が提供された。 フランス革命以前と違ったのは、今度は身分に関係なくお金さえ出せば手に入れられるという「平等の精神」が生まれた事である。 17世紀のフランス貴族社会の模倣は、21世紀の現代においても実は続いている。乾杯の儀式、レストランで行われるワインのホストテイスティング、料理の出し下げ、テーブルマナー、男性が連れの女性に対するエスコートの意味、などが挙げられる。 また、フランス料理店の少しカジュアルなものを「ビストロ」と呼ぶ。こちらは元々はフランス語ではない。これはその昔ナポレオンが失政した後、ロシアから遠征してパリに駐留していた兵士たちが、料理店で注文した料理をせかすため「ヴィストロ!ヴィストロ!=早く!早く!」と叫んだ事が始りであった。本格的なレストランでなくすばやく料理が提供できる料理店、それがビストロであった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jul 19, 2005 02:22:04 AM
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