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カテゴリ:フランス料理の文化と歴史
フランスではこの9月25日が猟の解禁日だそうです。
早ければ来週あたりから、日本にもいくつかのジビエが入荷されそうです。 現代において、またフランス料理において「ジビエ」とは狩猟した鳥獣類を指し、また、そういった食材を使った料理はジビエ料理と呼ばれてます。 「ジビエ」は狩猟した野生の動物の事ですので、鹿や鴨、猪やウサギ、もちろん狩猟すれば熊なども含まれる事になりますので、それぞれの味も全く違ってきます。 そのため、マスコミで「今年の冬はジビエが美味い!」などと謳われると、ちょっと複雑な気にもなります。 ジビエっちゅうてひとくくりにしても、ウサギと熊とやったら全然味ちがうやん! 高いから、珍しいから、季節限定だからありがたい。おフランスで食べられてるから貴重なんだっていう書き方はちょっと違うように思うのです。 そもそもジビエが重んじられるのは、特に冬の一定期間のみ狩猟が許されず、野山の植物などを食べて育ったその野生味が美味とされるところからです。 しかし、一方で文化としてとらえると、中世においてもともとジビエは一般庶民の口に入るものではありませんでした。 古代から中世へと変化を遂げた西暦5世紀から9世紀に至るまで、現代のフランスはまだフランク王国と呼ばれていました。もともと狩猟民族であったフランク族は戦闘訓練の要素もあった「狩り」を好みました。狩りの一つの形態として「ハヤブサを使った鷹狩り」があり、当時のフランク族語でgabaitiと呼ばれていました。後にこの言葉がジビエ(gibier)と変化します。ジビエは本来「狩りをすること」の意で、英語圏においてはゲーム(game)と呼ぶのも同じ意味からの派生です。 古代フランク族の末裔である、フランス王、フランス貴族たちは狩りを行うことを高貴な義務とし、一般の庶民が狩りを行うことを許しませんでした。それは、狩りを行なうための獲物の減少を防ぐ目的もあったのですが、彼ら曰く、 「野生の動物は自由であり、自由な生き物を捕えることが許されるのは、自由が保障された身分である貴族だけである」 といった考えからです。そのため、ジビエは古い文献のグランドキュイジーヌの中にも多く現れます。しかしその後のフランス革命によって、貴族社会は崩壊。後に現れる様々な「レストラン」において、ジビエの味が引き継がれることになったのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Oct 1, 2005 02:48:53 AM
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