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カテゴリ:こう見えてもソムリエでんねん
「甘口ワインへの見解」
ここ何日かは、「こう見えてもソムリエでんねん」シリーズが続いています。ワインには皆様何かとご興味があるようで、訪問者数も随分と伸びています。 本日はとある方より、「甘口ワイン」に対するネタフリがあったので、今日は甘口ワインについて語ろうと思いましたが、 やめました。 甘口と辛口の解説をする前に「酵母」という名の生き物の行動を知る必要があると思われたからです。 「酵母」とは、読んで字のごとく、「西孝の母」つまり、「ニシ・タカシくんのおかあさん」という意味からきました。 ウソです 「菌」です。酵母という響きには化学のような小難しさがありますが、れっきとした生き物です。 さてこの「コーボ」生き物ですから、食事もしますし、ウンコもオシッコもするわけです。他に何をするわけでもありません。食べて増えてオシッコしてウンコして死ぬるというのが彼等の一生なのです。 コーボの食べ物は「糖」です。ブドウを絞ったジュースの中にはこの「糖」がたくさんあるわけですから、コーボはウハウハなのです。そう、お菓子の家を見つけたヘンゼルとグレーテルのように。 で、コーボは糖をどんどん食べていきます。途中で数が増えることもあります。で、どんどん食べ続けているわけですから、ウンコもオシッコもどんどんします。 ウンコとオシッコと書きましたが、人間はコーボの排泄物であるそれらを「アルコール」と「二酸化炭素」と名付けています。 オシッコの方、「二酸化炭素」は軽いものなので、発酵している桶の蓋が開いていればどんどん空気中に放出されます。出ていかないように瓶の口を閉じたものが「発泡性」ワインとなり、シャンパーニュなどのエレガントと表される「泡」になるのです。実はコーボのオシッコなのにね。 コーボはああ見えて結構意地汚いものですから、どんどん糖を食べていきます。そして、アルコールを排泄していくのですが、いづれ自らが排泄したアルコールの息苦しさによって息絶えてしまうのです。コーボ達が息が詰まってしまうアルコールのパーセンテージというのが、10度から13度までくらいなのです。 大方のワインのアルコール度数がこの辺りなのも、コ-ボのその特性からです。 この時にワインの中にコーボが食べきれなかった「糖」がまだまだたくさん残っていると、それは「甘口ワイン」になります。 コーボが息絶えてしまう理由はアルコールと呼ばれる、自らのウンコまみれになってしまうからだけではありません。 ブドウのジュースの中に含まれる糖をすべて食べ尽くしてしまうと、いずれみんな餓死してしまいます。このとき糖は食べ尽くされて残っていませんので「辛口ワイン」になるのです。ですから、本来のブドウジュースの中に充分な糖分がないと、アルコールも糖分も得られませんので、「濃い、重い、ワイン」にはならないのです。 さらにこのコーボ、何かと寒さには弱いので、寒くなると凍死してしまったり、冬眠することもあります。アルコールがたくさん欲しい場合には、少々暖かくしてやってどんどん働かせればよいのです。 働かせるだけ働かせておいて、糖とアルコールのバランスが取れて、人間がちょうどいい感じと思った頃に、温度を下げると意図的にコーボを抹殺することができます。 まるで「火曜サスペンス劇場」に登場する金持ちの御曹子にもてあそばれる不幸なOLのような扱いです。 そして、、、ああ、憐れな酵母は亡骸を土に返されることも無く、瓶の底に溜まります。この酵母の死体は他の成分とひっくるめて「ワインの澱」と呼んでいるものです。 酵母は死して尚、自らの肉体「タンパク質」を分解させ、ワインの中で「アミノ酸」として液体中に溶けていくのです。そしてこの「アミノ酸」がワインに旨味を加えるのです。 多くの人はご存知無かったのでしょうが、ワインとは人知れぬこのコーボの働きによって生まれてきたのです。なんと立派なことか!今後は最もすぐれたワイン生産者と尋ねられたら、、、、 「酵母菌」 と答えましょう! って、そんなわけありまへんがな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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