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『東京家族』
(1/19~:TOHOシネマズファボーレ富山、TOHOシネマズ高岡、シアター大都会) 公式サイト:http://www.tokyo-kazoku.jp/ 瀬戸内海の小島に暮らす平山周吉と妻のとみこは、子供たちに会うため東京へやって来た。 品川駅に迎えに来るはずの次男の昌次は間違って東京駅へ行ってしまう。 せっかちな周吉はタクシーを拾い、郊外で開業医を営む長男の幸一の家へと向かう。 そこに長女の滋子もやってきて、家族全員が久しぶりに顔を合わせたのだが・・・。 *********************************************************************** 山田洋次監督50周年記念作品なんだそうです。 僕は『男はつらいよ』シリーズを小学生の頃から映画館で観て、 テレビやDVDで、同じ作品を何度も何度も観てきました。 なので、間違いなく、僕が一番多く観たのは山田監督の作品です。 で、本作は全体を通せば山田テイストなんだけど、 物語は小津安二郎監督の『東京物語』をモチーフにして描かれたものです。 演出も、序盤は特に小津さんのスタイルを踏襲していることは、 その点に造詣が深いわけでもない僕でも分かります。まんまですから。 これはオマージュなのかリスペクトなのか、ひょっとしたらパロディーなのか・・・。 いやいやパロディーな訳はないですよね。それは分かっています。 が、何だか観ていると序盤は可笑しくなってしまって・・・。 でもって、作品全体の雰囲気はもちろん大船調。 これは『おとうと』を観たときにも感じましたが、 山田監督は最近、この「大船調」を特に意識しておられるような気がします。 ただ、これも大船調ということなのかもしれませんが、 東京でも瀬戸内の小島でも、近所の人がすれ違うと挨拶していたり、 小島の丘の向こうから船(フェリー)の汽笛が聞えてきたり、 誰かが立ち去ったあとの雰囲気を少し長めに流したり・・・、といったシーンは、 僕の中では、山田洋次監督らしい演出だと受け止めています。 あと、うなぎを食べていた場所は帝釈天ですよね? 風吹ジュンさんの居酒屋にいた3人のお客さんも「松竹のいつもの」の皆さんですよね? 周吉役は橋爪功さん。 ちょっとだけ笠智衆さんを意識していたかのような・・・。でも、上手いんですよ。 幸一役は西村雅彦さん。この冬は『草原の椅子』の公開も待ってます。 昌次は妻夫木聡さん。これは「いかにも」って感じ(笑)。 滋子は中島朋子さん。中島さんが老夫婦の長女の役とは・・・、時代も流れましたね。 そう、時代は流れているんです。 物語は『東京物語』ですが、老人まで携帯電話を持ち、東海道新幹線は品川にも停まり、 東京スカイツリーが都内バス観光のルートに入り、東北には震災が起きました・・・。 でも、時代は変わっても、親子や夫婦、家族の繋がりは、 昔と変わらない部分もあれば、やっぱり変わってしまった部分もあり・・・。 そして、それは残念なことでもあり、仕方がないことでもあり・・・。 変わらないことも変わってしまったことも、田舎も東京も、 どちらも否定的に見ることだって出来るけど、悪いことばかりじゃない。 周吉もとみこも、東京に来て、それぞれの考え方がありました。 東京の対比として舞台になっているのが瀬戸内海の小島。 もうこのぐらい田舎じゃないと、昔ながらの日本人の「情」は描けないのかも・・・。 周吉の家の隣の女の子はどこまでも素朴で純粋で良い子だったりします。 そして、横浜のホテルで◎◎の人が騒いでいるシーン。あれも時代なのかも・・・。 もう、こういう映画は山田洋次監督しか撮れないかもしれませんね。 「美しい国、日本」は政治じゃなくて、映画で取り戻していけばいいんじゃないですか。 こういう映画を若い人が観たら、どう感じるんでしょうか。 本当は(年配の方もちろんですが)若い人にこそ観て欲しいと思うのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013年01月17日 02時49分19秒
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