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自分のルーツを知りたいアメリカ人たち
今日何気なく聞いていた公共ラジオ番組「RADIO TIMES」で、「自分のルーツを遺伝子学から探る」という話題がありました。 フィラデルフィア出身の遺伝子学者クリストファー・ラッブ氏がゲスト出演し、ホストのマーティー・モス=コーエンさんとの興味深い対話が放送されました。 家系図を辿ったら、先祖が奴隷所有者のヨーロッパ人でレイピスト(強姦魔) ラッブ氏は自身のDNAと家系図を辿り16人の先祖まで遡りました。 結果はラッブ氏自身を震撼させるものだったそうです。 先祖にはアフリカ各地の出身者に混じって、奴隷の所有者であるヨーロッパ系白人もいたのです。 「私のDNAに白人の遺伝子がありました。しかもその白人が当時奴隷だった私の祖先を強姦した家主だという事実も分かりました。 レイピスト(強姦魔)の遺伝子が私を生物学上形成している、これはショックでした。 考えてみれば何世代も遡り曾祖母そのまた親達と辿ると、家系図は瞬く間に拡がりますから、アメリカの多くの黒人達のDNAに何かしら白人DNAがあることはそんなに珍しくない現象だという事なんです。 大雑把に言ってしまうと、アメリカ在住黒人の多くが『所有者に乱暴された奴隷が生んだ子供の子孫』『奴隷所有者で強姦魔だった白人の子孫』なんです。 同様にアメリカの白人だって、ルーツを辿ってみたら奴隷所有者や奴隷が先祖だったなんてケースもゴロゴロあるのですよ。」 ~~~~~~~~~ 無意味なDNA分析、要は自分がどんな人間でありたいかの選択 ラッブ氏は、 DNAから判明する先祖は「自分が生物学上何者であるか(Who you are)」であり、自分のヘリテージ(身元・自分を構成する文化遺産)は「自分がどんな人間か(Who you choose to be)」である、 と非常に興味深い表現をしていました。 「生物学上の自分は変えようがないが、自分が先祖から受けた数々の文化遺産の中からどれを選んで自分の信条とするかは個人の選択なのです。」とラッブ氏は考えます。 ~~~~~~~~~~~ 知りたくない自分の「ルーツ」が明るみにでる事も… また最近「自分はどこから来たのか」に関して興味のあるアメリカ人が多くなり家系図や遺伝子分析を依頼するケースもあるそうですが、ラッブ氏はちょっとした警告をしています。 「『白人(White)』と言う言葉は奴隷制があって初めて意識的に作られた言葉だと私は思います。 また、黒人達は『奴隷だった』のではなく、『奴隷としてとらわれた人』なのです。 私はこうした人種関係の言葉遣いには非常に気をつけています。 所詮見掛けなんて取るに足らないものだということなのです。 見た感じはどう見ても白人なのにDNAを調べてみたら黒人のDNA要素がかなり強いというケースもあります。 またその逆に、黒人でも白人因子の強いケースもあります。 ですから、見かけや人種がなんだかんだと言う議論がいかに馬鹿馬鹿しいものであるかが分かって頂けるかと思います。 また、ある白人女性の話ですが、自分の遺伝子に黒人奴隷の血が入っている事を知りました。この方は1年後に結婚を控えていたのですが、このDNA分析事実が元か何なのか分かりませんが、結局婚約解消になってしまったそうです。 遺伝子を知って自分の祖先に犯罪者いたと分かって苦しんだ人もいます。」 結局自分で修正不可能な事実を探って一喜一憂するよりも大切なのは、 「幾つもの選択肢の中から自分のアイデンティティーとして選ぶ文化、価値観、信仰、哲学等なんです。」ということでしょう。 「運命も自分で切り開く」的な考えです。 *********** 家系図から判明~オバマ上院議員の祖先が奴隷所有者 昨日書いた民主党オバマ上院議員の母方には奴隷の所有者がいた事も判明しています。 フェアファックス・タイムスによると 「オバマ上院議員の何代も遡った先祖にジョージ・ワシントン=オーヴァーオール氏がいます。1850年の国民調査記録によるとオーヴァーオール氏は当時ケンタッキー州ネルソン市で2人の奴隷を所有していました。またオバマ議員の別の先祖メアリー・デュヴァル氏も2人の奴隷を所有していました。 記録によると、オーヴァーオール氏は当時30歳で、15歳の女性奴隷と25歳の男性奴隷を所有、オーヴァーオール氏の義母であったメアリー・デュヴァル氏も60歳の男性奴隷と58歳の女性奴隷を所有していました。」 これを発表したのはワシントンで国会図書館勤務のウィリアム・アダムズ=ライトウィズナー氏。余暇に趣味で家系図を辿っては自分のホームページで紹介してるとか。 (注:ひょっとしたら、ヒラリー・クリントン氏事務所や共和党陣営がお金を払ってこうした発表を企画したのかもしれません。充分ありうることです。) これに対しオバマ関係者: 「オバマ議員の奴隷を所有していた先祖達はアメリカの典型的なケースです。 奴隷を所有していたものもいれば別の先祖は市民革命の為に闘っていたのです。 そして、奴隷所有者の子孫がケニア出身の学生と結婚してアメリカ大統領候補になるまでに成長したということ自体が真の意味でアメリカの前進を物語っているわけです。」 オバマ氏の広報担当ビル・バートン氏は木曜日に答えました。 オバマ議員が奴隷所有の先祖の存在を知っていたかどうかは不明です。 「一部の記録を寄せ集めても精巧な分析には到底なりません。(オバマ議員関係の中傷的報道は)全くお話になりませんね。」 『ブラック・ルーツ:アフリカ系アメリカ人の家系図の見方ガイド』を書いたトニー・ブローズ氏は相手にもしません。 結局、先祖を辿る事よりも「今」自分が何をして何を考えているかです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
March 6, 2007 04:24:31 PM
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