3月31日16時53分配信 毎日新聞の記事からです
舞台は幕末。薩摩藩主・島津家の分家に生まれたヒロイン(宮崎)が十三代将軍・徳川家定(堺雅人)の御台所(みだいどころ)として大奥入りし、明治維新の際には江戸城無血開城に大きく貢献する、激動の生涯を描く。
初回(1月6日)の視聴率は20・3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で、大河ドラマでは過去10年で3番目に低く、決して順風満帆のスタートではなかった。だが、回を重ねるごとに上向きになり、第12回(今月23日)までの平均視聴率は22・7%で、1~3月の民放連続ドラマで最高だった「薔薇のない花屋」(フジテレビ系)の18・6%を大きく引き離している。
篤姫人気の秘密はどこにあるのか。制作統括の佐野元彦チーフプロデューサーはこう分析する。「血なまぐさく、常に策謀がうずまく幕末の世でも、実は温かい家族愛があったり、若い男が姫に恋する日常があった。それをきっちり描いたことが(視聴者に)新鮮だったのではないか」
宮崎も「家族愛」を強調する。「篤姫の心の中にはいつも家族がいる。早く離ればなれになってしまうけれど、どれだけ離れても篤姫にとってかけがえのない大切な人たちであることは一生変わらないし、どこにいても家族を思っている。その気持ちに共感してもらえるのでは」と話す。
「女の道は一本道」と、人生の節目節目で強い覚悟の言葉を口にする篤姫の生き様も若い女性から高い支持を得ているようだ。慕っていた養育係が突然自殺してしまったり、江戸入りしたもののなかなか結婚できなかったり、将軍の妻という高みに上る一本道で、篤姫はつまずき、大きく道をそれることもある。
結婚や仕事などの領域で、選択肢が広がった現代の女性も、「自分らしい人生の実現」という太い道を歩きながら、時には迷い、袋小路に入ることもある。倒れても倒れても必ず立ち上がり一本道に帰ってくる篤姫の姿に、女性たちは希望と勇気をもらっているはずだ。
もちろん、忘れてはならないのは出演陣の名演。老女・幾島役の松坂慶子や養父・斉彬役の高橋英樹らベテランが重厚な演技でがっちりと脇を固めている。「最後まで覚悟を持って篤姫を生きていきたい」という宮崎。チャーミングでありながら、どこかたくあん石をのみ込んだように腹の据わった篤姫から目が離せそうにない。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.04.01 06:58:09
コメント(0)
|
コメントを書く
もっと見る