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アセットMショックといってもいいイベントで、今週、不動産ファンド系の株価は軒並み軟調になりました。
日経の今日の下の記事を読むと、株価の下落が、成長性の鈍化という側面だけではなく、企業会計基準委員会が不動産ファンドに適用する処理(投資事業組合の連結に関する新ルール)を変更したことに端を発しているように見えます。 透明性を求めて変更した会計処理が、一時的かもしれませんが、不動産ファンドの株価に影響を与えた形になったわけです。 昔保有していたんで個人的には業績のイメージがわきやすいダヴィンチが、「売上1360億円と期初の14倍」って、笑いたくなるぐらい、表面的な数字だけとらまえると、異常に見えます(旧基準だと204億円)。 担当アナリストが愚痴をこぼしていると記事には書いてありますが、本当にそうだとしたら、結局のところ、数字に継続性がなくなることも1つの不信感の要因となっていると思いました。いろんな会社のIRを見ていると、今まで出していた切り口から別の切り口にしたりすることで、過去からのトレンドの変化が見えにくくなるかと思いますが、そのことに投資家が不信感を持っているのではと想像しました。 会計監査の厳格化の流れが新興市場の企業に一時的にはマイナスのインパクトを昨年与えたし、今年度も与えるだろうと見ていましたが(本質的には、あこぎな会社を締め出すため、大賛成)、こういう形での混乱から株価が下がるとは想定していませんでした。不動産ファンド系はセンチメント的にも今手を出しにくい感じがしますが、逆張り系の投資家はどうなんでしょうね。 ===引用== 不動産ファンド、決算方針出そろう―出資ゼロで連結扱いも、企業実態見えにくく。2007/04/14, 日本経済新聞 朝刊, 14ページ, 有, 1268文字 不動産ファンド運営会社のファンドの決算方針が出そろった。出資がゼロであっても連結子会社として扱う企業が一部に出るなど、各社が連結対象としたファンドは増えた。だが、財務諸表が企業実態を示さず、かえって決算書が分かりにくくなったとの批判も多い。会計処理を巡る混乱は当分、続きそうだ。 □ □ アセット・マネジャーズが十一日に発表した二〇〇七年二月期決算で二十本の既存不動産ファンドを新たに連結対象に加えた。従来は出資比率で過半を基準にしていたが、今回から五〇%以下でも連結子会社とした。中には運用はしていたが、全く出資していないファンドも二本ある。 同社は「資産運用業務を手掛けているファンドは基本的に連結するのが監査法人の考え方だった」と説明する。 通称「一兆円ファンド」を運営するダヴィンチ・アドバイザーズは〇六年十二月期決算ですべてのファンドを連結した。出資比率は〇―二〇%だったが、「他社よりも一任性が強い」(金子修社長)運用形態のため、実質的に支配していると判断したもようだ。 この結果、ダヴィンチの売上高は千三百六十億円と前の期比で十四倍、総資産は八千七百八十三億円と二十六倍に膨れあがった。 「不動産ファンドを連結した財務諸表は純利益以外、あまり意味がなくなった」。担当アナリストは口をそろえる。売上高は内容が様変わり。これまで運用手数料収入が中心だったが、ファンドを連結するとその不動産売却収入や賃貸収入が加わる一方、手数料は計上されなくなる。他人の資金を運用して手数料収入を得る事業モデルを読み取りにくくなった。 さらに経常利益段階までは、顧客でもある他のファンド出資者の利益まで含めて表示されるようになった。結局、他の出資者の利益を差し引いた純利益しか過去と比較できるデータがない。 昨年九月に企業会計基準委員会が打ち出した投資事業組合の連結に関する新ルールは、ライブドア事件に端を発している。ファンドの連結はずしによる不正を防ぐ狙いだが、逆に連結することで決算書が分かりにくくなった。ダヴィンチが決算短信に従来基準の財務諸表も掲載するなど、各社は投資家が理解しやすい開示方法に知恵を絞る。 □ □ そうした中でファンド償還の“荒技”に出たのは中古マンション売買専門のファンドを運営するスター・マイカ。今年三月までに約七十億円あったファンドの出資金を出資者に返還、かわりに金融機関からの借り入れを増やし、ファンドに貸し付ける形にした。 同社によれば「財務諸表と企業実態を近づける意味合いもあった」という。返還後の事業形態は、自社借り入れでマンションを売買するという連結財務諸表の内容に近くなった。 連結基準の厳格化はなお波紋を広げている。市場では決算書が実態を正しく表していないとの見方は多く、監査人の間で基準が統一されていないことに各社は不満をくすぶらせている。「すでに連結してしまったファンドははずせないが、今後新たに組成するファンドはどうなるか分からない」(クリード)。混乱はしばらく続きそうだ。 (三木聖司) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年04月14日 14時00分45秒
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