スマイル -Smile-
1936年のユナイト映画「モダン・タイムス」の主題曲として、チャールズ・チャップリンが作曲。チャップリンはこの映画の製作・監督・主演もこなし、更に音楽までも。すごい才能ですね。チャップリンは地震、楽譜も読んだり、書いたりできないということですが、メロディアスな曲をたくさん作っています。「ライム・ライト」の中の〈エターナリー〉もそうです。――あなたの心が痛んでも、ほほえみなさい。心が破れるほどつらくても、ほほえみなさい。雲が空をおおい、暗い時も、ほほえみなさい。恐れや悲しみをこらえてほほえめば、明日にはあなたのために輝く、太陽を見ることができるでしょう。悲しみを隠して、あなたの顔を明るく、そして、涙がこぼれそうな時こそ、ほほえむ努力をするのです。きっと、人生の希望が見つかるでしょう――私はこの歌詞もメロディも大好きです。とてもシンプルな歌だけど、あたたかく、力強く、優しく歌うことによって、自分自身も励まされます。昨年急死した、マイケル・ジャクソンの葬儀の時にもこの歌が歌われました。トニー・ベネットやダイアナ・ロス等の歌もグッドですが、つらい時には、この歌を口ずさんでほしいと思います。Live Spot Swing MARI --------------------------------------------------------------------------☆同じ"Smile”のタイトルで、1997年の読売新聞のコラム『花時計』に掲載したものがありましたので、追加で乗せてみました。*****************************************チャップリンの映画について話をしたら、それはもう限りがないのだが、映画もさることながら、私は彼の優れた音楽性にも驚かされる。活動写真の昔から、50年以上にわたって「喜劇の王様」であり続けたチャールズ・チャップリンは、数多くの主演作品の中で、自らテーマ曲を数曲つくっている。まったくの自己流でピアノとバイオリンを弾くが、いわゆる俳優が監督、演出、主演を兼ねても、映画音楽まで作曲する例はあまりない。チャップリンの映画に一貫して流れる人間の喜びや悲しみを、笑いの中に愛の眼でみつめる優しさを、そのまま素直に表しているのが「ライム・ライト」の<エターナリー>であり、「モダン・タイムス」の<スマイル>だと思う。―― あなたの心が痛んだ時もほほえみなさい。心が破れそうにつらくても、ほほえみなさい。恐れや悲しみをこらえて、ほほえみなさい。明日には輝く太陽を見ることができるでしょう。涙がこぼれそうな時こそ、ほほえむ努力をしてごらん。生きる希望が、きっとみつかるはず ――<スマイル>のシンプルなメロディーと詞。理屈抜きに、そのシンプルさが心にしみてくる。ありとあらゆる手法で、これでもか、これでもかと、愛だの、なんだのと騒々しく押しつけてくる、今という時代。けれど、なんだか空々しく、薄っぺらな気がしてならない。そんな時、チャップリンの映画や、この<スマイル>のような歌は、改めて人間の在り様、真の愛について語りかけてくれるような気がする。