勁力の波
お待たせしました。ずいぶんまえに、あることが分かったので今度アップしますと書いて以来、ずいぶんほったらかしにしていましたが、その続きをとうとう書きます。 拳友である某クリスタルさんから怒られてしまいましたが、これでどうにか見逃してください。 本題に入りましょう。 前回は、手イコール足という概念に関する私論を展開しましたが、今回はそこから派生することについて展開します。 私が学んでいる心意六合拳には、「足裏時間」というタームがあります。 時間と言うか厳密には距離で、前足の踵から指までの間を発勁に使います。踵から指までの支点の微妙な移動が発勁に必要だというのです。 これを、単に後ろ側から前側への勢いの発露だと解釈すると恐らくは間違いです。 踵から指までの間、運動エネルギーは発生させません。 発勁で必要なのはそのような爆発的、言い換えれば散発的なエネルギーの発露ではありません。 私の解釈では、動く力ではなく、動かない力。止まった力です。 後ろ足に乗った体重を支える支点を前足のかかとにまず置きます。これで、下に向かう力(抗重力)を明確化させます。 同時にこれを、前からくる力への抵抗力とします。 もちろん、力と言うのは直角からの干渉に弱い。下に向かう力は本来、前からの力に対してとても弱いはずです。 そこで、前回のテーマであった、手イコール足を使います。掌と足の裏の間(ほぼ全身)をきっちりと繋げて、基礎概念として体をブーメランのような形にします。 そして、腕は地面に対して水平に すると、完全なる直角ではなくて、前方からの力に対して斜め下後方への反作用を作る図形が作れます。 つっかい棒と考えればよいのでしょうか。 こうなると、前からの力を受け止めてそのまま前に帰す力が作れます。 言い換えれば、動かない力を前への力にすることが出来ます。 前に向かう力を前に向かう力として使うのではありません。後ろに行かない力を前にゆく力に帰るのです。 この、固定した力、留まり続けようとする力こそが、私の学んでいる派の心意六合拳のミソだと思われます。 うちの派の打撃を食らうと、時にタイムラグが発生することがあります。 ビクビクしながら食らった瞬間、「あれ? 大丈夫だ、良かったな」とホッとしていると、次の波で巨大な力が訪れて、打ちのめされるのです。 なぜ、一発の打撃で二度の衝撃がくるのかずっと不思議でしたが、先の論が原因だと思われます。 まず、単なる打ち、つまり加速的接触からの手ごたえがあります。この段階では、ただ手が当たっただけなのでさほどの威力はありません。 しかし、この当たりの反作用がまず相手の足の裏までゆき、そこからゆるぎない固定した質量の衝突力として戻ってきます。それが第二派です。そしてこの威力こそが、この発勁の真の威力だと解釈しています。 と、いうことが私のわかったと思ったことです。某クリスタルさん、いかがなものでしょうか?