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法律なんて怖くない!

法律なんて怖くない!

架空請求詐欺は怖くない!



6月17日に書きましたように、債権譲渡でき、債権の売買は通常の売買と同じように成立します。
ということは、債権は債権を売る人と買う人が承諾すればよく、その債権についてお金を払う人(債務者)が全く関知しなくても債権の売買自体は成立します。
本件の場合、三島さんと貴方が売買を承諾すればよく、清水君は関知しなくてもいいのです。
とすると、新しい債権者が貴方になり、清水君は貴方に支払わねばならないところ、清水君は依然として三島さんが債権者だと思い込んでいて三島さんに100万円を支払ってしまうかもしれません。

そこで、債権譲渡時には債務者の関知は不要ですが、債権譲渡後には何らかの方法で債務者に債権譲渡を知らせる必要があります。

第四百六十七条  
指名債権ノ譲渡ハ譲渡人カ之ヲ債務者通知
又ハ債務者カ之ヲ承諾スルニ非サレハ之ヲ以テ債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス


「譲渡人カ之ヲ債務者ニ通知」するか、「債務者カ之ヲ承諾」しなくては、債権譲渡を債務者に対抗できないとあります。
「対抗できない」というのは主張できないということです。
つまり、「譲渡人カ之ヲ債務者ニ通知」か「債務者カ之ヲ承諾」が債務者に対する対抗要件なのです。

まず「通知」について考えてみましょう。
「譲渡人」とは債権を「譲り渡した人」ですから、債権を売った人です。
もう一度言います。債権を「売った」人が債務者に通知しなくてはなりません。
本件の場合、三島さんが清水君に「債権を譲渡しました」ということを通知しなくてはならないのです。貴方が清水君に「債権譲渡を受けました」と言っても無意味なのです。

ということは、かつて流行った架空請求詐欺が全く的をはずしたこ
とをしていると言うことになります。
なぜなら、大抵の架空請求詐欺は「A社の貴方に対する債権を私どもが譲り受けました」と言うことが書いてあるからです。
もちろん、債権を譲り受けたこと自体嘘であることがほとんどです。
しかし万一債権を譲り受けていたとしても、その通知は譲り渡し人、つまりA社の方からしなくてはならないのです。A社のほうから通知しない限り万一債権譲渡は本当でも払う必要はありません。
架空請求葉書をまだお持ちの方は一度ご確認してみてください。
笑ってやりましょう。


ただし、いきなり「○○裁判所へ来い」とか、「支払督促」とかいてあった場合は
無視してはいけません。


ところで、なぜ譲り渡し人が通知しなくてはならないのでしょう。
架空請求詐欺でもわかります通り、譲受人が通知できるとすると
嘘をつけてしまうからです。
債権を譲り受けてもいないのに「債権を譲り受けました」といわれると債務者は信じてしまいます。
そこで、債務者が騙されないように譲り渡し人だけが通知できるとしたのです。


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