カテゴリ:宮城県の菓子(郷土菓子含む)
2008.5.5初公開
餡が入っている草大福の2タイプがあります。 宮城では3シーズン見かける草餅ですが、 古俗を尊ぶ方にとって、宮城における端午の節供のお菓子は ヨモギの香高い草餅なんだそうです。 とはいえ、お菓屋さんの店頭を席巻しているのは柏餅なのですが。。。 今回は草餅に使われるヨモギが 宮城の人にどれだけ愛されて来たかというお話です。 端午の節供といえば、 厄除けに菖蒲湯をつかう習慣が全国的にあります。 宮城では本来菖蒲にヨモギを加える*のですが、 その理由づけとなるような民話が幾つか伝えられています。
民話のあらすじをザッとかいつまむと、 夜な夜な娘のもとに通う男がおりました。男の身元を怪しんだ母親が 娘に知恵を授けます。その知恵とは、糸を男の衣服にくくりつけること。 母親は糸を辿って、男を追います。糸はケヤキの大木のウロの前で 途切れていました。様子を伺う母親の耳に話し声が聞こえてきます。 「だから人間のところへなど行くなと言ったのだ。 鉄の毒が体にまわって死ぬぞ」 「なに。おれが死んでも娘を身ごもらせてきたからいい。子孫は残る」 「そんなもん、菖蒲とヨモギの裾湯をつかわれたら、 子種など、すぐに流れてしまう」 母親がウロをそっと覗くと、そこにいたのは蛇。 驚いた母親は蛇に気づかれることなく自宅に帰り 娘に菖蒲とヨモギの裾湯を使わせます。 こうして民話は、 菖蒲とヨモギの湯が蛇に汚された娘を清めてハッピーエンドとなります。
もう、お気づきですね。奈良の三輪山伝説をベースに、 菖蒲とヨモギの霊力を結びつけたような民話になっています。 宮城らしさは、前段のクライマックスの舞台にケヤキの大木の ウロが選ばれていること。ケヤキの大木は宮城ではありふれた 樹木であるとともに、ご神木でもあることが多々あるとか。 魔除けの菖蒲とヨモギの力。 それほど菖蒲とヨモギは古い時代、神聖視されていたのでしょう。
*菖蒲湯にヨモギを加える習慣は、秋田県南地方にある私の実家にも ありました。宮城だけではなく、ほかの地方にもありそうです。 参考:『土地に根ざした民話』(みやぎ民話叢書) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jan 3, 2019 01:54:51 PM
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