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2023.11.04
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カールツァイスのゾナー135mmf4を下敷きにして、
旧ソ連で1940年代後半から開発がスタートした、
ジュピター/ユピテル135mmf4。

色収差が厳しくなる望遠レンズには異常分散のフッ系硝材が必要なのだけど、
大概の旧ソ連製レンズはカールツァイスのコピーと言われながら、
実際には特殊な硝材は安価なものに変えて再設計したりしている事が多い。
このレンズはどうなんだろうか。因みにオリジナルは二枚目がフッ系クラウン。


クラスノゴルスクの工場でレンジファインダーのキエフとゾルキー用と共に、
ユピテルー11として一眼レフ用のM39マウントも作られ、
Казанским оптико-механическим заводом(カザン光学機械工場)では、
11Aというアダプター付きのタイプを生産して、
他にもАрсенал(アルセナル工廠生産協会)では、
キエフ10と15用のバヨネットマウントが作られた。

オリジナルと同じ3群4枚で正確な焦点距離は133.12mm。
前玉から後玉後端までの長さは59.35mmというコンパクトなレンズだ。

ゾルキー(ライカ)用の内部構造。


このレンズは昔、ヤシカ・コンタックスを背負ってプラハを訪れた時に、
いつもの望遠コンビであったプラナー85mm+ゾナー135mmを止めて、
プラナー100mm一本にしたのだけど結局は物足りなくなって、
ゾナー135mmを置いてきたのを悔やみながら現地のカメラ屋さんで入手したものだ。

家の旧東側製光学製品の大半がスラブ語圏のバックパッカーで入手したものだけど、
既にツァイス・イエナのゾナー135mmf3.5は持っていたので、
コンタックス+アダプターで使えるM42の135mmレンズとなると、
そこでの選択肢は旧ソ連製かマイヤー位のものだったので、
結局は手持ちには無いf4という値に惹かれて、
ジュピターの旧いアルミ鏡胴の奴を選んだ。

早速、その軽量コンパクトなレンズで、
プラハ上空を飛ぶ飛行船を追っかけたりしていたのが懐かしい。


ペンタックスSLに付けたユピテル135mmf4。
この独特なコーティングの色が購入を後押したのだ。


ユピテルはゾナー型に加えてf値を欲張っていないので実にコンパクト。
左側にあるのは大きさの比較で並べた同世代のf2.8/タイル133mm。
長さと先端の開口径の大きさが大分違うのが分かる。

このタイルは別の機会にM42だと思って購入して、
早速使おうとした時にM39だと気が付いた。

因みにタイル133mmはレニングラードの国立光学研究所/ГОИ(GOI)に於いて、
Д.С. Волосов(D.S.ヴォロソフ)氏により、
1951~1958年に掛けて開発試作された後の1960年から量産されたもので、
一群目が貼り合わせというオリジナル設計の3群4枚構成。

この時代に世界的にも珍しかったf2.8という明るさは、
恐らく軍需目的だったのだと思われる。


ユピテル135mmf4の作例(全て銀塩写真)

阿弥陀岳が見下ろす田んぼの稲ももう直ぐ刈り取りが始まる。


向こう側の田んぼの土手に大きなカラマツがあるけど、
その傍でコサギが羽を休めている。


阿弥陀岳が見下ろす秋の田んぼの脇に作られた小さな花壇と、
その奥の物置の屋根にカラスが一羽。


蓼科山が見守る田畑も秋真っ盛り。
色付いた稲が首(こうべ)を垂れて、
その奥にはソバの白い花が満開になっている。


首を垂れた稲の向こう側の空にはカラスが飛んでいく、
雲の様子が猛烈に暑かった頃とは大分違う。


別の日に阿弥陀岳から連なる南八ヶ岳を眺める。
田んぼの土手の上の農道脇に小さな花壇をしつらえるセンスに拍手。


夕方になり農作業が終わり人が消えて、
もう直ぐ日が暮れる静かな山間の田んぼ。


3羽ガラスが秋の田んぼを下に見ながら、
餌場にでも向かって飛んでいるのだろうか。


背後にあるカラマツは防風林も兼ねている筈で、
その手前には白いソバの花が満開になり、
更にその手前の案山子が見守るキャベツ畑では収穫作業が行われている。


あと僅かで秋のつるべ落としの日が消える。


今でこそ135mmは地味で人気のないレンズだけど、
望遠で手持ち撮影が比較的容易な135mmは、
レンジファインダーのライカにも、
フレームが用意される程のポピュラーな存在だった。

それは景色からポートレートなど色んな場面に使える万能レンズであり、
報道のプロは必携だったしアマチュアにも人気の望遠レンズだったので、
サードパーティーも含めた同じメーカーからも、
わざわざf値の違うものが供給されていたりしたのだ。


個人的には頭の中のブライトフレームで、
撮影対象を凝視する感じになる135mmは昔から好きで、
もっとマトモに写真を撮っていた時には必携のレンズだった。

今でも時々引っ張り出して見ると、
135mmの人間が凝視した時の視点というのは、
写真を撮る上で結構重要なものである事を再認識させられる。

200mmを超えるレンズの使いこなしが難しいのは、
人間の視点を越えてしまい非現実的な景色になっているからではないかと思われ、
135mmはもっと見直されて然るべきレンズだ。





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最終更新日  2023.11.04 19:30:10
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