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楽しい南の島

闇夜にうごめく路上の人影

『闇夜にうごめく路上の人影』

やっとやっとデンパサ―ルに到着!
もう真っ暗だよ。

映画みたいにタラップを降り、空港の建物まで歩く。
モア~っというか、ジット~っというか
かなりの湿気が体を包む。

「ちょっとこれは何?」

海外=ハワイ
上空を吹き抜けるジェット気流の恩恵で、
一年中カラッとしたあの空気。
当然、バリだってちょっと違うかもしれないけど
そんなもんだろう、という甘い考えがあったのだ。

最初の1歩からガラガラと崩れて行く幻想…。

建物はこじんまりとした2階建て。
国際空港なのにずいぶん小規模なのね。
入国手続きは機内ですんでいるので、
荷物さえ受け取れば、トコトコ外に出られる。

ニコニコ顔の現地ガイドさんが私達を待っていてくれた。
「これからホテルに参ります。こちらにどうぞ。」
そこにはかなりクタビレタ様子のバンが。

「これに乗るのね。」
クタビレテいようと走ればイイのだ! 問題なし!!

車は一路ホテルを目指す。
ガタガタかなり揺れる車。舗装されてないんじゃないの?
外は真っ暗で何も見えない。
ガイドさんは明日からのOPの説明に余念が無い。
「カメの島、カメが一杯いますね。キンタマーニ高原、きれいな所です。……。」

「キンタマーニって憚られる名前だよね。」
ボソっと豚吉が呟く。
「うん。ツアーに行きたい時、名前言いにくいよね。」
申し訳無いけど、そう思ってしまう名前なのである。

それにしても、このガタガタぶりはかなりヒドイ。
気持ち悪くなりそうだよ。

「もうすぐクタの町です。」
ガイドさんの説明に窓の外を覗き込む。
ぼやっと灯りがついてはいるけど、暗い。
これで繁華街なのだろうか?

店の明かりが道路を僅かに照らし出す。
歩道の縁石に腰掛けている人影。
それが半端な数じゃない。
沢山の人々が暗い中車道の方を向いて座っている。

「ウヒャ~! これはなんだ~?」

疑問の叫びを残し、車は走りつづけるのだった。

バイクの轟音。ラジオの音楽。トッケーの鳴き声。


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