|
カテゴリ:書評
著 者=天童荒太(てんどう・あらた) 書 名=悼む人 発行所=文藝春秋 発行年=2008.11 評 価=★★★★★ 【送料無料】悼む人 新聞や雑誌などの情報を元に事件や事故の現場を訪れ、その犠牲者を悼む行為を長年続けている主人公=悼む人と、その家族・話題性を元に悼む人を追う記者・犠牲者の加害者として主人公と同行する女性などの心理を描いた小説である。 ありそうでなかった、なんて奇抜な設定なのでしょうか。その点だけでも面白く読める。加えて内容も申し分なく惹きこまれる。四国遍路の88か所巡りに似てはいるが、全く違う終わりのない旅のように思える。本書では、犠牲者の加害女性が悼む人の行為を認め、自らも悼む人として分かれて旅をする場面で終わってはいるが、本当の最終結論はどうなってしまうのでしょう。なにが悼む行為の終わりなのでしょうか。 そんな様々な余韻を残しながら、本書は静かに本を閉じるといった読後感である。現代社会に投げかける課題もあって、名作と思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.09.19 16:22:07
コメント(0) | コメントを書く
[書評] カテゴリの最新記事
|