カテゴリ:旅は、生きるためのレッスンである
ほんの一週間前、切なる想いを抱えた学生ランナーたちが駆け抜けた道のりをたどって、箱根へ向かいました。 幸いにもこのところの日本晴れを持ち越し、麗らかな陽射しを浴びながら光に満ち溢れた風景をいくつも通り過ぎることができました。 JR東海道線の車窓には真っ青な空を映した湘南の海が広がり、揺らめく海面は昼下がりの太陽を反射してキラキラと輝いています。 小田原駅で下車すると、着物を羽織った若者たちが街中を闊歩し、楽しげに語らいの輪を作っていました。 どうやらこの辺りでは、つい先ほど成人式が終わったようです。 自分にもあんな華やいだ年頃があったんだよなぁ・・・と、羨ましげに眺めてしまいます。 連休の中日ということでいつにも増して人出が多いのでしょう、小田原駅のターミナルからバスに乗ったのですが、道路は渋滞し遅々として進みません。 それでも、特にこれといって観光する予定のない妻とわたしは他愛もないおしゃべりをしたり、うたた寝したり、緩やかな時の流れをむしろ楽しみました。 箱根駅伝の小田原中継所がある辺り、かまぼこで有名な鈴廣のショップなど観光スポットが建ち並ぶ交差点を過ぎると少しずつバスの速度が上がり、箱根湯本駅を発した時には重厚なエンジン音が快く響いていました。 「この坂だよね、『新・山の神』が快走したのは」 やはり妻もわたしと同じことを思い描いていたようで、右に左に身体を揺さぶる蛇行したこの急坂に、箱根駅伝の映像を重ね合わせていました。 「おなじ坂道を走ってみたいと思う?」 ジョギングを日課としているわたしに、妻は興味深そうに訊ねます。 「うん。自動車の排気ガスが充満していなければ、是非走ってみたいな・・・」 学生時代、トレーニングとして急峻な上り坂をさんざん駆けていたので、スピードさえ要求されなければ坂道を走ることは好きです。 わたしの走りは決してレースを目指していないので緩慢なのですけれど、のんびり小さな一歩を積み重ねて箱根の峠を超えてみたいものです。 昨秋に義父母とともに訪れた宮ノ下の富士家ホテルを通過し、バスは快調に冬枯れた山のなかを疾走してゆきました。 とあるバス停で下車し、そこから程近い宿へと歩きました。 日陰になった箇所にはうっすらと雪の結晶が残り、凍結はしていないものの油断すると路面は転倒を誘います。 宿に到着してフロントでチェックインを済ませ、自室に荷を下ろしてからさっそく温泉に浸りました。 さっきまでモヤがかかって判然としなかった富士山は、にわかに蒸気のカーテンを開いてその威容を現したようです。 浴場へと向かう廊下の窓ガラス越しに、対称的でなだらかな稜線を描いて日本一の山が黒々と佇んでいます。 富士山が見えると、なぜか嬉しくなってしまいます。 再び足を前に進め、妻とわたしは男女それぞれの風呂に別れました。 身体を洗い流してから扉になっている窓ガラスを開け、藍色の空の下でチョロチョロとやわらかい音を立てている湯船に入ります。 板塀の向こうに葉を落とした裸の樹木がシルエットとなって浮かび、それをぼんやりと眺めながら下半身を湯に浸していました。 鉄分と硫黄が入り混じったもったりとした匂いが鼻の奥に温かみを伝え、瞼を閉じてそれをしっかりと受け容れようと努めます。 空は刻々と光を失って群青色を帯び、それに合わせて木々の影も濃厚になっていきます。 今日、明日は身体をしっかりと休め、くぐもった精神を清らかにしたいと思います。 今日も好い一日でした。 ありがとうございました!! 【三文日記】 都心を離れれば在庫が残っているんじゃないかと、小田原駅近辺で「ニュー・スーパーマリオブラザーズ・Wii」を探しました。 ドン・キホーテを訪れてみたのですが、やっぱり売り切れ御免・・・。 諦めるしかないのでしょうか? ●今日の天気 晴れ。 ●今日の運動 ジョギング35分。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010/01/11 05:05:23 PM
コメント(0) | コメントを書く
[旅は、生きるためのレッスンである] カテゴリの最新記事
|
|