不憫なムスコ
最近ってほどでもなく、もう数ヶ月前から、ゆうとんは恋をしている。相手は、同じマンションにいる3歳の女の子。色白で、くるくるの髪の毛。おしゃまでとってもかわいい、ゆうとんにとってはお姉さま。彼女の名前を呼ぶゆうとんの声は、ふだんよりワントーン高く、夢にもよく出てくるらしく、寝言で絶叫していることもあるくらい。母としての複雑な心境はさておいて、問題は、ゆうとんが彼女にさほど相手にしてもらえないことだ。我が家の子供たちは、どういうわけだか、ふたりともテンションが高い。ちょっとしたことでやたらと盛り上がっているし、普段の会話も、いちいち大声で早口。しかも、一人遊びが苦手。さすがに男の子だけあって、みんみんほどではないけれど、ゆうとんも、一人でもくもくと、ブロックやトミカに熱中するタイプではなく、相手は大人でも子供でもいいから、会話しながら、一緒に盛り上がる遊び方が好きなのだ。でも、悲しいかな。2-3歳くらいの子はまだまだ勝手遊びが好きな子がほとんどで、あれやろう、これやろうと、もち掛けてくる、みんみんやゆうとんは、うっとうしいらしい。同じことで、みんみんにも悩んでいた。ゆうとんと同じく、同じマンションにいる、同級生の男の子が大好き(今でも)なみんみんは、一緒に遊びたがるのだけれど、相手は、口うるさいみんみんに、あれこれと指図されながら遊ぶよりも、一人でトミカを走らせていた方が、よっぽど楽しいのだ。一緒に遊びながら、必死に話しかけても、返事すらしてもらえず、一時期、みんみんは見ているこっちが切なくなって、胃が痛くなりそうだった。ゆうとんの好きな男の子も、みんみんの好きな女の子も、決して性格の悪い変わった子 といううことではなく、しっかりしたお母さんにしつけられている、とってもいい子達だ。ただ、うちの子とは相性が良くないってことなんだと思う。みんみんは幼稚園へ行くようになって、この悩みはしばらく忘れていた。幼稚園には、みんみんと同じタイプの女の子が何人もいて、一緒に遊んでいる時のみんみんは、本当に楽しそう。そうしたら、今度はゆうとん。今朝、みんみんを幼稚園のバス停へ送っていく途中、恋する女の子の声を聞きつけたゆうとんは、いちもくさんに駆けつけ、おはようの挨拶をするも、ぷいっと顔を背けられ、ドアをばたんと閉められてしまった。ゆうとんが幼稚園へ行くまであと、2年。母は何をしてあげられるんだろう。。。