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カテゴリ:しごと
こういう仕事は私には珍しいのだが、ある会社の創業者で、そろそろ引退される方の自伝をリライトしている。
ながーい文章には思い入れたっぷり(笑)。相当な苦労人であることはひしひしと伝わるが、一体それを誰に、どうして伝えたいんだろうかなあというのが今の私の正直な気持ち。自費出版というのが珍しくなくなって、自分の半生を綴る人も増えているそうだけど、自分の生き方って文章にして残すほどなのかなと、今40才の私は思う。 これが「もう晩年」と感じる頃にはまた違った思いが生まれるのだろうかな。その時、私はどんなことを書き残すんだろ? それにしても、この方の文章というのがスゴイんだな、これが。まず、点や丸がないからどこが区切りかわかんない。自分の頭の中ではわかっているのだろうけど固有名詞は略してあったり、年代はあっちへ飛びこっちへ飛び。とにかく思いつくままにダーッと書いた感じ。いや、それでも結構な文章量があるからご本人は一生懸命だったのだろうけど。 高齢の方ゆえ、男尊女卑的な内容や名誉毀損なんじゃないのぉ?みたいなのも感情の赴くままに書かれていて(笑)、それはそれで微笑ましい。仕事柄、私はなるべくトラブルのない文章を心がけるクセがついているけれど、文章に慣れない人だから致し方ないか。それに、その方の生きてきた時代の常識が今の価値観に合わないよというのはいくらでもある。仕事だけワンマンにやってきた男性ゆえに、そのあたりの柔軟性がなかったんだねーと勝手に判断してみたり。 文章から伝わる苦労、苦労。第三者の目からは「いやいや、あなた意外に恵まれてますよ」と思うことまで「苦労したのだ」になってるこの文章。うーむ、このまま本にしちゃったら親戚でも読まないぞ。どこかで共感させるような流れにしなくてはなあと、秘かに頭を悩ますゴーストライターなのであった。 教訓。 これから自伝を書こうとなさっている皆様。 人に読ませるつもりなら、もっと冷静に、第三者的に自分の人生を振り返らなきゃだめですよ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006年04月28日 17時43分21秒
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