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テーマ:今日見た舞台(958)
カテゴリ:舞台感想記
新春恒例の浅草歌舞伎。
第一部と第二部とある。昼の部と夜の部というわけだが、夜というほど遅くない(3:30~7:00過ぎまで)。 忠臣蔵の五段目六段目という有名かつ人気演目が第一部・第二部それぞれにあり、役代わりとなっている。 第一部と第二部を見ると、同じ演目で配役が異なるものを続けて見ることになる。こんな機会もなかなかないと思い、一日に続けて見たのであった。正直、さすがに少しはしんどい気もなかったとはいえないが・・・ <お年玉〈年始ご挨拶〉> 羽織袴姿で亀鶴が登場し、舞台から客席に降りようとする。通常こんなときは舞台の端に階段が設置してあるはずだが、それがない。 しばし、足先で、どうしよう・・・という様子を見せたと思ったら、やにわに飛び上がって宙返り、客席通路に着地を決めた。羽織袴姿で! いわゆる、「とんぼを返る」というやつ。さすがは歌舞伎役者。 さいごに「次の演目の中では、とんぼの名手がもっと高いところからとんぼを返ります」と予告して、うまくつなげた。 <鳴神> 亀次郎の雲の絶間姫が、「色仕掛けを演じている」さまを演じているのが、いい感じ。 <仮名手本忠臣蔵、五段目・六段目> 勘太郎が活躍。おかるを演じた第一部では、声と、しこなし。勘平との別れでは後ろ向きだが、別れを惜しむ気持ちが微妙なしぐさからこぼれてくる。 第二部の勘平では、声や姿がところどころ親父(の勘九郎時代)によっく似ている。 両方通して、婆もよかったと思う。 実は、六段目では、婆が鍵である。ストーリーからいっても、一日のうちに、夫を殺され、娘は身売り、婿は切腹。こうして書いてみても、悲惨すぎる・・・ 立て続けに家族を失いひとりぼっちになり最後に残されるのだから。芝居の運びにおける進行役でもある。演じたのは、脇役のベテランである芝喜松。 それぞれ見所はあったが、全体の出来では第二部のほうをとる。 <蜘蛛絲梓弦> 今回これが最も印象的だった。 亀治郎、顔は親父の段四郎のほうに似ているが、声や演技のほうはますます伯父の猿之助に似てきた。 「蜘蛛の糸」モノにはいくつかのバージョンがあるが、常磐津と長唄をあわせて、今回が初演の新作だという。この、新しく作ることといい、その中身といい、猿之助の試みを受け継いでいる感じがあった。 六役はや代わりも鮮やか。早さだけを求めるのでなく、ほどほどの間をもってぱっと登場する呼吸などは、狐忠信を思い出す。予想しないところから登場したり引っ込んだりするあたりも、「四の切」を髣髴させた。 踊り自体もきびきびと切れ味よく面白く、なにより元気がよい。 さわやかな気分、そして今後に期待をもって、浅草をあとにした。この盛り上がりをやさしく包み込みゆったりとクールダウンしたのが、降り止みつつあった雪景色であった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.01.24 10:39:30
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