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山崎元の経済・マネーここに注目

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2009.11.27
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カテゴリ:カテゴリ未分類

動画投稿サイトで有名なユーチューブに自動的に字幕をつける技術が開発されたという ニュースを見た(日経ネット:http://it.nikkei.co.jp/internet/news /index.aspx?n=AS2M2101V%2021112009)。ネット電話サービス向けの音声認識装置のために開発された技術がもとになって いるようだが、音声を文字化して字幕として流すようなものが想像できる。今のところテスト段階で、精度はそれほど高くないようだが、将来的にはユーチュー ブの全ての動画に字幕がつく可能性があるという。

ユーチューブの夥しい数の動画に自動的に字幕をつけられるということは、その字幕の文字が検索対象になるということだ。そうなると、ユーチューブ を保有するグーグル社が得意とする検索語を対象とした広告がユーチューブの動画に対して半ば自動的に可能になる。これは、字幕化が厳密でなくても、相当程 度実用になるだろう。

英語で「フリー」、すなわち無料をベースとしたビジネスについて面白く書かれたクリス・アンダーソンの新著「フリー」(高橋則明訳、NHK出版社)の中で、ユーチューブは非常に有名であるにもかかわらず、まだ十分に収益化していない、いささか不名誉なビジネスの例として出てくるが、一転して収益を生む金の卵になるかも知れない。

ただし、それを期待してグーグルの株式を買うには、まだ話が遠すぎるし、グーグルは巨大に過ぎる。少なくとも筆者の好みの投資ではない。

しかし、動画の音声が文字データ化されて、これにローコストで広告がつくようになるだろうという方向性には大いに興味が持てる。

これまで文章で情報を発信できる人や会社は、メールやウェブサイト、ブログなどを使って自分自身が持つコンテンツを直接発信し、何らかの形でこれ を収益化する場合があった。これらに加えて、動画による情報発信も検索が容易になることから、広告の対象になり、収益化できる道が拡大するのではないだろ うか。ジャーナリストや映像作家に加えて、芸能関係者、音楽家、アーティストなど広い範囲のコンテンツ・クリエーターが、インターネットをコンテンツの マーケティング窓口としてより強力に利用できるようになるだろうし、それと同時に収益化の手段としてもより大きく期待できるようになるのではなかろうか。

この場合、コンテンツのクリエーターとユーザーが直接結びつけられて経済圏を作ることになるから、テレビやラジオ、新聞といった既存のメディアの相対的な価値は益々低落する事になるかも知れない。特に、既存メディアの広告上の価値は低下しそうだ。

現在、ユーチューブとテレビや映画などの既存の映像メディアには画像・音声のクオリティに大きな差があるが、ユーチューブ、あるいはユーチューブ的な動画配信サービスは画質も音質も配信スピードもそして検索を通じたアクセスの上でも、今後クオリティを高めて行くだろう。

ここ2年前くらいから、プロの動画の世界に、一般のデジタル一眼レフカメラの動画撮影機能が使われるようになっていて、その画質の高さが注目を浴びている (CMや旅行番組の制作などで使われている)。たとえば、キヤノンのEOS5D-Mark IIの動画は、画質面ではある部分でこれまでのテレビ撮影用のカメラの上を行っているが、このカメラを使うと撮影機材もコストもこれまでの機材を使うより もずっと安く済むようになった。

かつて(20年くらい前)、自動焦点合わせと自動露出のカメラが出回ったときに、あるカメラメーカーが「カメラマンに残されたものは哲学しかない」という印象的なキャッチコピーのテレビコマーシャルを流したが、これを思い出した。

「何かを発信したい」と思い、その実力がある個人にとっては、大いに楽しみな時代になった。もちろん、ビジネスも投資もこうした時代に寄り添いながら栄えていくはずだ。

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楽天証券経済研究所
客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第63号 2009年11月27日発行より) ==========================================================






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最終更新日  2009.11.27 15:27:35



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