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山崎元の経済・マネーここに注目

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2010.12.10
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11月下旬に家電量販店を訪ねてみたら、平面テレビの売り場が大混雑していた。エコポイントが半減する前に対象商品(地デジ対応テレビ)を購入しようとする顧客が殺到したためだが、筆者が訪ねた店では、整理券を配って10人単位で顧客に対応する大盛況だった。

家電の場合、通常、同一の商品を買うとして、大型量販店が一番安い訳ではない。商品にもよるが、インターネットで安い店を探すと、量販店よりもざっと1割くらい安い店が見つかることが多い。ただし、どの商品を買ったらいいかがまだ決まっていない人の場合、量販店に行くと複数のメーカーの商品を較べることができるし、付属品(テレビならケーブルなど)や消耗品(ブルーレイ・ディスクなど)を揃えたり、配達サービスが便利であったりと、量販店で買うことのメリットもある。

しかし、商品について事前に詳しく知っていて、セッティングなども自分でできる人の場合、主にネットの情報を使って、まず、全メーカーの製品の中から自分に良さそうな商品を絞り込み、それらを安く買うとどこでいくらで買えるのかを調べた上で、商品と購入する店を決めて買い物に行くだろう。あるいは、手間や交通費などを考えるとネット・ショップで買うのが最も賢いかも知れない。この種の消費者が、家電製品の消費者としては、最強の人々だ。

さて、投資信託のような金融商品は家電製品と似ている。家電製品の場合、メーカーと型番が同じ商品を買えば、新品を買う限り、どの店で買っても性能、即ち効用は同じだ。金融商品も、同じ商品を同じ時期に保有していると利回りは同じになる。金融商品の場合、同じ商品なら個々のモノとしての当たり外れがないから、家電製品よりもさらに安心だ。

問題は、金融商品の場合に、消費者が家電製品を買う場合ほど賢くないことだ。

典型にして悲惨な例が、退職金を、その退職金が振り込まれた銀行で運用する高齢者だろう。退職金での運用が本格的な運用デビューになる場合が多いのだが、銀行に限らず、購入窓口を先に決めてしまうと、まず、自分が買おうとする商品カテゴリーの中で最も有利な商品を選ぶことができない場合が多い。

家電量販店なら、まだしも複数のメーカーの商品を扱っているが、対面窓口のある銀行や証券会社の場合、自社の系列グループの商品が多いし、他の金融グループの商品を扱っている場合があっても、多くは、同カテゴリーの中で手数料が高い商品だ。

また、給与振り込み口座がある銀行の場合、顧客の貯金の内容(定期預金なら残高も満期も知っている)も経済取り引きも分かる(家賃の引き落とし額、カードの決済額、証券会社からの振り込みの有無なども分かる)。

もちろん、分かっていて使う分には人好きずきだが、銀行のセールスマンから投資商品を購入するのは、百貨店の外商部から家電製品を定価に近い価格で購入するくらいの「いいお客さん」になる行為だといえる。

しかも、お金持ちが、家電製品などの商品を高く買うのは、豪華な消費行為として理解できるが、金融商品の場合、目的が「お金を効率よく殖やすこと」なのだから、手数料の高い商品を買うことは単に間抜けなだけなので、お金持ちでも不愉快なのではないか。

運用商品を購入する際の手順は、(1)自分の家計を把握し、(2)運用計画(特に資産配分計画)を作り、(3)個々のカテゴリーでベストな運用商品を広い範囲から選び、(4)手数料が最も安い窓口で買う、が基本だ。そして、これらを、他人からのセールスやアドバイスに従うのではなく、自分でやることこそが「安心」なのだ。

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楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第88号 2010年12月10日発行より) ==========================================================





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最終更新日  2010.12.10 14:23:57



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