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山崎元の経済・マネーここに注目

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2010.11.26
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カテゴリ:カテゴリ未分類
個人に対する資産運用のアドバイスで時々疑問に感じるのは、お金を小分けにして目的別に運用するのがいいという教えだ。

「攻めのお金と守りのお金をしっかり分けましょう」、「お金に色を着けましょう」、「将来の目的別に、お金の運用を考えましょう」といった具体的な提案が続くのだが、はっきり言って「素人の生兵法」であることが多い。

何をどう運用したらいいのか皆目見当がつかない運用の初心者が、運用を始めるためには、手持ちの資金を幾つかに分けて考えることが効果的な場合もあるかも知れないが(「何もしないよりはいい」という程度の消極的なプラスだが)、難しい話ではないのだから、個人の資産運用といえども、正しいセオリーを踏まえて運用するようアドバイスするべきだろう。

個人の運用資産は、ただでさえあまり大きくないことが多いので、運用資金を細分化してしまうと、分散投資の効果を十分に発揮できない場合が多い。たとえば、レジャー費、子供の学費、老後の資金、などと目的を分けて、別々に最適な運用を考えると、それぞれの費目で予備資金を持って、結果として、予備の資金が多くなりすぎて、運用のチャンスを十分活かせない可能性がある。

また、資金が小さい場合、日本株、先進国の外国株、新興国株などへのバリエーションを十分拡げることができずに、リスクの大きさだけを変えて、似た内容のリスクを取る可能性がある。

弊害が具体化しやすいのは、確定拠出年金の運用だ。「将来のための大切な年金」という先入観念があると、たとえば債券と内外の株式半々といった内容の運用商品を選ぶことがあり得るが、これは、確定拠出年金の長所の一つである「運用益に対する非課税」のメリットを十分活かしていない。このメリットを最大限に活かすには、期待リターンの高い資産の運用を確定拠出年金部分に集中して、残りの資産で低利ターンだが低リスクな資産を持って、「全体のバランスを取る」のがベストだ。

多くの人が、自分の確定拠出年金で、必要以上に年金であることを意識して、定期預金のような安全資産だけに留まったり、バランス・ファンド(債券・株式両方を含む運用商品)を購入したりするのだが、これは得ではない。

なお、再来年から導入が予定されている、個人向けの非課税運用枠である「日本版ISA」も運用が非課税になる点のメリットは確定拠出年金と同じだ。

詳しくは別の機会に書くつもりだが、日本版ISAでの運用には、確定拠出年金と同じ注意点と、異なるコツがあるのだが、どんな資産運用でも、資金の持ち主にとっての「運用資産全体」を最適な状態にキープすることの重要性は同じだ。

もっとも、「全体として最適化を図るべし」という原則は、プロでも時々逸脱することがある。かつて、一時的な人気を博した日本株に投資する投資信託で、割安株・成長株・小型株の三分野に資金を分けて、個々に運用させるスタイルの大がかりな仕組みの商品があったが、これは、完全に運用のセオリーから外れていた。「反面教師!」である。

自分の運用資金について「全体として」考えることは、慣れていないと難しい場合があるかも知れないが、初心者から上級者まで、全ての個人投資家が意識して欲しい運用の基本だ。この「基本」に立ち返ることで、「確実な改善」が可能な場合がしばしばある。

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楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第87号 2010年11月26日発行より) ==========================================================





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最終更新日  2010.11.29 09:44:59



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