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山崎元の経済・マネーここに注目

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2011.04.22
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カテゴリ:カテゴリ未分類
最近、アマチュアの投資家同士が集まる会合について、話を聞いたり、参加したりする機会が多い。大規模なものでは、インデックスファンドに関心を持つ投資家が集う「インデックス投資ナイト」といったイベントがあったし、コツコツと投資する投資家の集いをコンセプトとする会合も、東京だけではなく、日本のあちこちで開かれているようだ。

こうした会合の最大の長所は、金融機関のビジネスの影響を受けないで、投資家同士が情報を交換したり、知識を強化したりすることができることだ。銀行・保険・証券・その他の金融会社(FX会社や商品先物取引業者など)、あるいは何らかの金融業界の団体が主催するイベントでは、どうしてもスポンサーの利害に、内容が影響されがちだ。

金融会社がスポンサーになっても、ビジネス上の利害関係を会の内容に持ち込まないという方針を貫くことは可能だが、会の継続性(つまりスポンサーの資金の継続性)を保ちつつ、会の出席者が全くスポンサーに気を遣わず、「投資家のため」という目的のみで会を運営するには、相当の努力が必要だ。また、そのように会が運営されるとしても、その会がビジネス上の利害から独立なものとして広く認知されるためには、相当の継続実績が必要だ。

そういう意味では、金融ビジネスの側から見ると、既存の投資家の集まりを利用したいという誘因が発生することがあるので、投資家同士の集まりの側でも、メンバーや話題の選定を含めて、運営には注意が必要になる。

アマチュアの投資家同士の集まりで、多い話題は、自分の投資の現況報告と、初心者投資家に対する指導であるように思われる。

お金の運用は、将来に不確実性を孕む不安な行為でもあるので、投資家は、自分の投資について話す機会を得たり、他人の投資の状況を聞いたりすることで(「ああ、あの人も苦労しているのだ」などと思うことで)、精神の安定を得たり、時には、やり甲斐を再確認したり出来る。

この点では、ブログのような直接顔を合わせない環境でのコミュニケーションよりも、直接会って話をする投資家の会合の方に大きなアドバンテージがある。

しかし、一つには個々の投資家が持っている資金量が異なるし、もう一つには投資家の運用成績にはばらつきがあるから、自慢したい人がいたり、逆に、ひがみっぽい人がいたりすると、それらが少数でも、会の雰囲気が壊れてしまうリスクがある。

初心者に対する指導も、話が盛り上がりやすいテーマだ。投資になにがしかの趣味の要素があるとすれば、他人から投資について学ぶことも喜びだろうが、投資について教えることも、劣らない楽しみになり得る。これは、ゴルフのような趣味を観察すると明らかだが、投資についても指摘できる傾向だ。

「会社の確定拠出年金の商品選択をどうしたらいいのか」とか、「海外ETFをどうやって買ったらいいのか」といった質問に対して、直接投資家が教えてあげたり、より詳しい仲間を紹介したり、といった有意義な親切が展開する様子を目にすると、「投資家が投資家を教える」という関係はいいものだ、と思う。

こうした試みの延長線上に、たとえば、投資家同士の集まりで、投資について一から体系的に勉強することはできないかという可能性も検討してみたい気分になる。基本的に利害が一致している同士で、相互扶助の精神の下に、ビジネスのしがらみに影響されない勉強がローコストでできるなら、素晴らしい。

この可能性は、是非追求してみたいものだと思うが、注意を要する点を三つ挙げることができる。

一つ目は、参加者のレベルをどの程度揃えられるかだ。知識や経験のレベルがあまりに違うと、参加メンバー同士で何を勉強することがプラスになるのかが一致しない。

二つ目の心配は、メンバーの中で正確な知識が伝わるかどうかだ。影響力の強いメンバーが、自己流の押しつけや、誤解の擁護に回ってしまうと、同レベルの人たちの間で、正しい知識に辿り着くのに苦労することになる。投資の世界では、「儲けたのだから、私のやり方が正しいはずだ」という悪しき結果主義と呼ぶべき感覚がはびこることがあるし、有名な書籍をテキストや副読本に使うとしても、本の内容に間違いがあるケースも少なくないので、この点は注意したい。

三つ目の問題は、ギブ・アンド・テイクのバランスが崩れやすいことだ。これは、メンバーの知識レベルの差にもよるが、教える側と教えられる側の関係が一方に偏ると、教える側の負担や苦労ばかりが増えてしまい、勉強会に疲れてしまうことが起こる。はじめのうちは意義とやり甲斐を感じていても、バランスの偏りがあまり長く続くと、継続が難しくなる心配がある。

こうした点に注意しながら、教材やテーマを工夫して選び、時には外部のアドバイザー(ビジネスから独立した意見の言える人を!)を上手に利用して、投資家が投資家を教える仕組みが実現できるなら、日本の投資教育は大きな問題を一つ解決する糸口を掴むことができるだろう。

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楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第95号 2011年4月22日発行より) ==========================================================





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最終更新日  2011.04.27 16:34:38



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