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山崎元の経済・マネーここに注目

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2011.05.13
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東日本大震災の発生と、これに続いた東京電力福島第一原子力発電所の事故に関心が集中したことで、今年の春は、「新入社員」にあまり注目が集まらなかったような気がするが、「就職(大!)氷河期」で数が減っているとはいえ(その分「精鋭」だろう!)、4月はじめには多くのオフィスに新入社員が登場したはずであり、それから1カ月が経って5月に入った。

5月は、主に大学のキャンパスで使われる言葉だが「五月病」と呼ばれるような、憂鬱を伴う中だるみのような気分に陥りがちの時期で、新人にとって、就職の際の非日常的な興奮が消えて、毎日のルーティンワークがのしかかってくる頃合いだ。新入社員の皆さんは元気にお過ごしだろうか。

多くの新入社員にとって、4月は大きな環境変化の月であって、研修などのイベントも多く、まだ職業人としての生活ペースが固まっていない時期だっただろう。5月からの過ごし方が、今後しばらくの生活ペースを作って行くことになるだろう。主に新入社員に対して、お金に関する生活ペースの作り方について、筆者流の(少し、普通とちがうかもしれない)アドバイスを贈りたい。

まず、当面の大目標は、どのように生活したら毎月の収入以下に支出が収まるかを感覚で把握して実行できるようになることだ。収入以上に支出するということは、財産の蓄えが乏しい新入社員の場合、(最初は)少額ではあってもカードローンなどの借金をすることになるが、個人が借りるローンの金利は、担保として住宅がある住宅ローンを除くと高率であり(15%くらいのものが多い)、これは、とても運用などで取り返せるような利回りではなく、ひどく不利だ。ともかく、借金をしない生活を確立することが大切だ。

銀行との付き合い方もよく考えて、今のうちに方針を決めておこう。

一般に、多くの銀行口座やクレジットカードを持つと、お金の管理が複雑になり、無駄が生じやすく、効率が悪い。給与振り込みのある銀行に公共料金やカードなどの決済を集中させておくと、その口座の履歴がお金の管理に関する多くの情報を集約することになるので具合がいい。給与振り込み口座は、会社の取引関係などで銀行を指定されることもあるが、自由に決められる場合は、銀行の経営状態と自分にとっての利便性(将来転勤した場合のことも考えて)を両方考えて決めるといい。

日頃使う銀行口座は一つに絞る方がいいと筆者は考えるが、最近のATMの制限(オレオレ詐欺への対策もあって、1日の引き出し額に上限がある場合が多い)や、大手銀行でもシステム・トラブルがあることなどを考えると、別の銀行にもう一つ普通預金口座を持って、予備のお金をある程度入れておくことをお勧めしたい。

なお、銀行口座を開いてキャッシュカードを作ると、キャッシュカードにクレジットカード機能が付いてくることがあるが、この利用には注意したい。特にカード利用の際のリボルビング払いは、高い利率の借金の残高が残ることになるので「絶対に」避けて欲しい。キャッシュカードにも、つい(小口ではあっても、大いに不利な)借金をしてしまうような仕掛けがあるので、是非注意して欲しい。

なお、銀行の預金は一人一行1千万円を超えると預金保険の対象外になるが、銀行にはお金の運用に向いた商品がないので(定期預金の金利は市中金利よりも大幅に低いし、窓口で売っている投資信託は手数料が高すぎて、ほぼ全てダメ!)、銀行に置いておくお金は、せいぜい数カ月分の生活費程度で、貯まったお金の運用は別の場所で行いたい。

次に、新入社員に是非伝えたいことの一つだが、生命保険に入らないことの重要性だ。独身で子供もいない新入社員に、生命保険は必要ない。先輩社員の紹介するセールスが勧める保険であっても必要ない!

死亡保障の保険のセールス攻勢を凌いでも、病気が不安でつい医療保険に入ってしまうこともあるが、これも「確率と費用を計算すると、非常に無駄!」だ。会社で健康保険入っている人は、特別に重い病気になりやすい人でない限り、民間生保の医療保険に入るのは損だ。重病や怪我で高額の医療費がかかっても、健康保険の「高額療養費制度」でカバーできることがほとんどだ。医療保険に払うお金を貯蓄しておく方がずっと得だ。もちろん、病気にならなければ、別の目的に使える。

5月の時点では、「もう生命保険(死亡保障であっても、医療保険であっても)に入ってしまった!」という新人社員がいるかもしれないが、今なら間に合う。是非解約を検討して欲しい。生命保険のセールス行為に見合う手数料は、最初の2年程度の保険料から集中的に徴収されるようになっている。5月なら、まだ被害は小さい。相手は、相当に嫌がるはずだが、それは、それだけこちらの解約のメリットが大きいということだ。

生命保険が必要なのは、資産がない同士が結婚して子供ができたケースだろう。こうした場合は、最も安い死亡保障の定期保険(10年といった期間のある保険)で保険料が掛け捨ての保険に入るといい。現状では、若い人については特に、ネット専業の生命保険会社の保険料が安いケースが多いように思う(ご自分で調べて下さい!)。

新入社員にとっての5月で、もう一つ考えて欲しいのは、確定拠出年金だ。特に、会社が確定拠出年金制度を用意している場合は、税金面で有利なので、是非、最大限に利用することを検討して欲しい。確定拠出年金の有利な利用方法は、また、別の機会にご説明したいと思っているが、税金面で有利なチャンスは逃さない方がいい。

さて、先のことも考えておこう。

「新人の5月」では無理かも知れないが、貯めたお金にある程度の余裕ができたら、次には、ある程度のリスクを取ることも視野に入れた「有利なお金の置き場所」を考えたい。お金は、適切な場所に置くと、お金自体がお金を稼いでくれるようになる。運用するお金の「適切な置き場所」とは、最終的にお金が有効に投資される対象として生産性の高い対象と、その経路としてコスト(主に手数料)が低い経路を指す。

最後のアドバイスは、ネット証券に、なるべく早く「お金を長期的に増やすための」口座を開くことだ。

良い投資対象が、国内株式なのか、外国株式なのか、あるいは投資信託のようなものなのかについては(結論は「組合せ」なのだが)、いろいろな意見があるし、本人の方針や好みもあると思う。何に投資するかは難しい問題だが、同じ物(実質的にほぼ同じ物も含めて)に投資するなら、その際の手数料が安い投資方法が得だということはお分かり頂けるだろう。本稿は、ネット証券のメールマガジンなので、この点に関しては、読者は内容の真偽を疑ってお調べになるといいと思うが、傾向として、株式にしても、投資信託にしても、個人投資家がお金を運用する場合、ネット証券の手数料が安いことが多い。

お金を増やすことが目的で運用するのだから、同じ内容の運用をする場合に、手数料が安い手段を使うのが合理的だ。

加えて、セールスマンからの接触がないネット証券は、自分で考えて、自分のペースでお金を運用する上で都合の良い取引相手だと思う。

今後お金を長期的に殖やすための運用商品を取引する相手はどこがいいかについては、どのネット証券がいいかも含めて、広い範囲を、ご自分で調べて、完全に納得された上で決定して欲しい。

新入社員の5月。最初にいい方針に向かうと、その有利性は長きにわたって継続する。

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楽天証券経済研究所客員研究員 山崎元
(楽天マネーニュース[株・投資]第96号 2011年5月13日発行より) ==========================================================





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最終更新日  2011.05.16 16:43:00



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