『悪いうさぎ』　若竹七海

2005.12.15

カテゴリ：本

『悪いうさぎ』　著：若竹七海

今まで何冊か、女探偵が出てくる小説を、
読んだことはあるけれども、あまり得意ではないかも…、
と感じた本書。

途中で読むのを放棄しようと思ったのですが、
図書館に持っていくのを忘れ、まだ手元にあるので、
頑張って読了してみました。

「せっかく借りたのを、読まずに返せるか！」と、
変な意地（笑）。

なんてんだろ？
面白くないとかそういうワケではなく、
探偵というのが、あまりに現実味がないからかも。

作り話として読むには、現実的すぎるんだけれど、
探偵業というものが、どんなものだか見当もつかないから、
イマイチ感情移入もできない、というか。

やっぱり探偵モノならば、海外小説がいいかなぁ。
外国が舞台ならば、作り話だと割り切って、
楽しむことができるし。

しかもこの女探偵、探偵のくせに無防備すぎて、
最初から最後まで、やられっぱなしだし。

私が依頼人だったら、絶対頼まないぞ（笑）。

そんな彼女が頼まれた仕事とは、
家出した娘を連れ戻して欲しいという、
一見、簡単そうな依頼。

無事、娘は自宅へ返したが、その娘が通う、
セイモア学園のお金持ちの子女が、
立て続けに姿を消し、その調査も頼まれる。

しかし、家族の態度が不自然だったり、
依頼を取り消されたりと、不審を感じた彼女は、
自分で調べを進めていく。

消えた女子高生たちは、「お金になるゲーム」に、
巻き込まれたらしい。
そのゲームとは、「二八会」なる名士たちによる、
「ウサギ狩り」。

行方不明の女子高生の父親も、
その「二八会」会員として、名を連ねていた。

体当たり調査のため、ウサギ志願と偽り、
ハンティングゲームの拠点へと赴いた探偵。

縛り上げられ、ウサギの着ぐるみを着せられ、
夜の山に放たれる。

「お前はいいうさぎだな。
前のうさぎたちも、いいうさぎだったが、
お前ほどじゃないな。
一度罠にかかったうさぎってのは、
ホントにおとなしくなるもんだ」

体の自由を奪われ、次第に暗くなっていく中で、
本当に撃たれるかもしれないと、
必死で山を彷徨う描写や、
中盤、廃トラックの荷台に監禁された彼女の、
暴れたりもがいたり諦めたり奮い立てたり。

そういう描写はとてもリアルで、
読んでいて息苦しくなりました。

サブキャラ、特に女探偵の大家が、
魅力的でした。

男なんだけどオネエ系の、面倒見のいい、
お兄さん（お姉さん？）。

刺されて探偵業のできない探偵に、
内職（一組90円のイヤリング作り）を、
斡旋してやったり。

その他、女探偵の親友が惚れた男が、
結婚詐欺の前科のあるヤツで、
その一悶着の方がナマナマしかったりと、
サブストーリーに助けられ読み終えたような、
一冊でした。

これを読み終わった翌日に、
スマスマでウサギ料理って、
何かのシンクロニシティかしら？（違）