*モナミ* SMAP・映画・本
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『さゆり(上)』 『さゆり(下)』 著:アーサー・ゴールデン 映画『SAYURI』の、原作。 豪華絢爛な花柳街。 そこで生きる女たち、男たちの、 美しく、そして醜い闘い。 貧しい漁村に生まれた9歳の千代。 売れらた先は、京都・祇園の置屋。 自分の運命を受け入れられない千代に、 姉芸妓の豆葉が言う。 「ここで辛抱せなあかん。 世の中いうのんは、それしかあらへんえ」 一流の芸妓になれば、幼い日に出会った、 憧れの人のお座敷にも呼んでもらえるかも、 との淡い夢を胸に、芸妓さゆりとして生きることを、 決心する。 絵柄や手触りまでも鮮明に浮かんできそうな、 美しい着物をまとい、夜の蝶のように舞う娘たち。 しかし、そこに至るまでの道たるや、 外側からではとても想像できないほど、 過酷で、残酷で。 伝統や格式を重んじる芸につきものの、 厳しさはもちろん、女同士の闘いたるや、 ここまでやるか…と唖然。 口ではいいように言いながら、 いつのまにか裏から手を回し、 ネチネチとさゆりを苛める初桃に、 「あんた、いい加減にせぇよ!」と、 「この、根性曲がりが!」と、何度、 怒鳴りたくなったことか。 しかし彼女も、かわいそうな人だったんだ…、と、 さゆりが次第に反抗を見せる頃から、 思えるようになったけれど。 そんな激しさを全て、オブラートに包むかのような、 京言葉での会話。 もうそろそろ、さゆりにも旦那はんを、と、 まだ男を知らないさゆりに豆葉がする、「鰻」の話。 「男はんいうもんはな… ま、鰻みたいなんを持ってはるのや。 …中略… この鰻は死ぬまでお宿をさがしてはる。 ほな、女の中には何がある? 狭い洞穴やろ。鰻が寝床にしたがるとこや。 …中略… あの鰻は縄張り意識が強おっせ。 気に入った寝床が見つかると、 ぐりぐり中へもぐりこんで、しばらくは居続けて… …中略… 男はんいうのは、それが好きなんや。 ほんまに好いてはるわなあ。 新しい寝床探して、ほかに何もせんと 暮らしたはる人もあるくらいや。 どの鰻も住み着いたことのない寝床やったら、 また格別らしいわ」 まだ14、5の少女に、なんともえげつない話だけども、 粋に聞こえるのは、決して京言葉のせいだけでは、 ないハズ。 しかしまぁ、まだあどけない少女を、 そういう目でしか見られない男たちの、 なんと情けないことか。 芸者遊びをするほどの名士であっても、 目的は、それただ一つとは。 髪型にしろ着物にしろ化粧にしろ立ち居振る舞いにしろ、 すべては男はんの気を惹くために、作り上げられたもの。 視線の合わせ方や外し方、お茶の淹れ方もすべて、 男はんにどう見られてるか…を常に念頭に入れての、 仕草。 それを承知の上で、「男はんの愛玩物」 となるべく、芸を磨く女たち。 旦那はんである男爵を好いてるか、 と問うさゆりに、明答を避ける豆葉。 女の、ましてや芸妓の好き嫌いなど、 存在さえしないと、思われていたのだろう。 華やかになればなるほど、 寂しさが増すような世界。 初恋のひとをただ想う、それだけで、 一人ぼっちの寂しさも、初桃の執拗な嫌がらせにも、 置屋のおかあさんの理不尽な仕打ちにも、 厳しい練習にも耐えてきたさゆり。 その想いが、叶う。 すごい人生だ。 こりゃ、映画化したくもなるわ! ブラボーさゆり! と思ったら、なんと、フィクションとな。 完全に、騙された。 『ジェニーのいた庭』と同じくらい、本気で感動して、 騙されるほど完全に、惹き込まれました。 読んでしばらくは、京言葉で話したくなる、 一冊でした。
♪本日のBGM
メイキング・オブ・マッドマックス 怒り… 2015.07.24
『家族の言い訳』 著:森浩美 2015.02.07
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