*モナミ* SMAP・映画・本
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『中二階』 著:ニコルソン・ベーカー あるサラリーマンの男が、昼休みの買い物から戻って、 オフィスのある中二階にエスカレータで戻るまでに見かけたり、 思いついたさまざまな物事について書き綴った本。 飲み物の中で浮いてしまうストローの弊害。 靴紐が左右同時に切れる理由。 牛乳パックの進歩と牛乳配達という職業の敗北。 洗面所のペーパータオルのすばらしさ。 エスカレータという乗り物の精妙なメカニズム。 多分、誰も気にしないだろう細かいことへの、限りない愛情。 こと細かに思い寄せる。 左右の靴紐がほぼ同時に切れたことにより、毎日の生活の中で、 靴紐に歩く時にかかる力、結ぶ時にかかる力を分析。 初めて靴紐を結べた日の記憶から、無意識に結べるようになった日、 そして新たな技?を自分で編み出した時の誇り。 昼食ついでに靴紐を買いに行き、スーパーで買った牛乳の、 紙パックについての考察。 いつからこの形になったのか。 この形になることによって、得られたものは?失ったものは? コーラの缶から浮いてしまうストロー。 紙のストロー時代には水中で均衡を保っていたのに、 なぜ浮いてしまうプラスチックに、全て取って代わられたのか。 ほとんどのビルのトイレのペーパータオルが撤去され、 代わりにドライヤーが設置されたことによる弊害。 最初はゴミが減り、そのための人手も減ると歓迎されたはずだが、 それはトイレの清潔さをも失うことに。 エスカレーターの驚くべき構造を賞賛するとともに、 それに初めて乗った日から抱き続けている精巧な機械への憧れ。 また、この本の書かれ方が、変わっている。 本文があり、そしてキーワードには注釈がついているのだけれど、 時には本文を凌ぐほどの長く細かい注釈が。 その注釈によって、思考が自由自在に行き来する。 確かに、何かをぼんやりと考えている時というのは、 それ一つのことだけを考えているわけではなく、 それに関連することが次々と脈絡なく頭に浮かぶのだから、 理にかなってるというか、「考え付いたこと」そのままを、 書き連ねているよう。 一つのことから芋づる式に、あちこちへと思考が飛ぶ。 それが発明され改良されるに至った(であろう)過程から、 その計算されつくした緻密さから、それにまつわる思い出まで。 すべては、昼休みが終わりオフィスに戻るエスカレーターの上で、 考え付いたこと。 この主人公は、こんなことばかり考えていて仕事になるのか? と心配にならなくもないけれど、着眼点と発想の面白さで、 いつも何気なく見過ごすことも暇つぶしにはなる、と思った、 一冊でした。
【参考】 ◆ニコルソン・ベーカーの著書は→
メイキング・オブ・マッドマックス 怒り… 2015.07.24
『家族の言い訳』 著:森浩美 2015.02.07
『あなたに褒められたくて』 著:高倉健 2015.02.05
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