カテゴリ:雑感
平成31年4月1日の午前11時40分ごろ、平成の次の時代の元号「令和」が発表された。
万葉集の梅花の歌、32首の序文からとったそうだ。 古来、典拠は中国古文からの出典とされていたはずだが、 今回は万葉集。 なんだかなあという気がする。 先日、「なぜ元号の典拠は「中国の古典」であり続けているのか」という文章を ネットで読んだ。 URL https://gendai.ismedia.jp/articles/-/63799 実にもっともな話であった。 現行政府の中国との確執とかはまあ、余計な話ではあるけれど。 典拠というのは意外と大事なことなのだけれどなあ。 そしてもう一つ、元号には古来課されていた役割がある。 それは時代に名前をつけることで、その時代に呪をかけるということだ。 どういう時代にしたいかの期待と希望と願いをこめて名前をつけるのである。 そうしたところからいくとあまり薄っぺらい典拠ではいかがなものかと 古典に特に造詣が深いわけでもないのだけれどいささか不安になっていた。 その予感は的中して典拠は「万葉集」 梅花の歌32首の序文とはどういうものか。 今どきのネットはなんでも調べればでてくる非常にありがたいものなので早速調べてみた。 わかりやすい解説があったサイトから引用させていただくと下記の通りである。 ※引用元 万葉集入門 URL http://manyou.plabot.michikusa.jp/manyousyu5_815jyo.html ------ ここから引用開始 梅花(うめのはな)の歌三十二首并せて序 天平二年正月十三日に、師(そち)の老(おきな)の宅(いへ)に萃(あつ)まりて、宴会を申(ひら)く。時に、初春(しよしゆん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ、梅は鏡前(きやうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かをら)す。加之(しかのみにあらず)、曙(あけぼの)の嶺に雲移り、松は羅(うすもの)を掛けて蓋(きにがさ)を傾け、夕の岫(くき)に霧結び、鳥はうすものに封(こ)めらえて林に迷(まと)ふ。庭には新蝶(しんてふ)舞ひ、空には故雁(こがん)帰る。ここに天を蓋(きにがさ)とし、地を座(しきゐ)とし、膝を促(ちかづ)け觴(かづき)を飛ばす。言(こと)を一室の裏(うら)に忘れ、衿(えり)を煙霞の外に開く。淡然(たんぜん)と自(みづか)ら放(ひしきまま)にし、快然と自(みづか)ら足る。若し翰苑(かんゑん)にあらずは、何を以(も)ちてか情(こころ)を述※1(の)べむ。詩に落梅の篇を紀(しる)す。古(いにしへ)と今(いま)とそれ何そ異(こと)ならむ。宜(よろ)しく園の梅を賦(ふ)して聊(いささ)かに短詠を成すべし。 ※1:「述」は原文では「手」遍+「慮」 ----------------------------------------------- 天平二年正月十三日に、大宰師の大伴旅人の邸宅に集まりて、宴会を開く。時に、初春の好き月にして、空気はよく風は爽やかに、梅は鏡の前の美女が装う白粉のように開き、蘭は身を飾った香のように薫っている。のみにあらず、明け方の嶺には雲が移り動き、松は薄絹のような雲を掛けてきぬがさを傾け、山のくぼみには霧がわだかまり、鳥は薄霧に封じ込められて林に迷っている。庭には蝶が舞ひ、空には年を越した雁が帰ろうと飛んでいる。ここに天をきぬがさとし、地を座として、膝を近づけ酒を交わす。人々は言葉を一室の裏に忘れ、胸襟を煙霞の外に開きあっている。淡然と自らの心のままに振る舞い、快くそれぞれがら満ち足りている。これを文筆にするのでなければ、どのようにして心を表現しよう。中国にも多くの落梅の詩がある。いにしへと現在と何の違いがあろう。よろしく園の梅を詠んでいささの短詠を作ろうではないか。 --------- 引用終了 令和、とは「時に、初春(しよしゆん)の令月(れいげつ)にして、気淑(よ)く風和(やはら)ぎ、梅は鏡前(きやうぜん)の粉(こ)を披(ひら)き、蘭(らん)は珮後(はいご)の香(かう)を薫(かをら)す。」の中に使われている「令」と「和」をとったものだ。 「時に、初春の好き月にして、空気はよく風は爽やかに、梅は鏡の前の美女が装う白粉のように開き、蘭は身を飾った香のように薫っている。」という意味らしい。 何というか典拠をみるに雰囲気重視の元号だなあ・・・。 今後いつかまた元号が変わることもあると思うが、カジュアルな元号になっていくのかなあと思った。 安倍総理によると、令和には「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が育つ」という意味が込められているそうで。 なんだかこのところ無理やり労働力を得るために移民をを推進している政治的背景を後押しするような内容ですなあ・・・・。 美しく心を寄せ合えるくらい余裕のある社会、豊かな時代であればよいのだが。 (あっ、だからそこの願いかっっっ) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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