ミュージカル『王家の紋章』 8/27 千秋楽観劇 メンフィス・アイシス・イズミルが化けた! 浦井メンフィス編
感想の続き。お次は浦井メンフィスについて。(いまだ興奮が冷めずの長文&乱文です。ご容赦いただける方だけどうぞ読んでやって下さい)ある意味、千秋楽公演は、メンフィスが一番大化けだったかもしれません。中でも、これまで観た回と比べて最も変化を感じたのは1幕ソロの『ファラオとして』でした。歌いだしからみなぎる気迫。パワー炸裂。激しさ全開。 傲岸で猛々しい、若い雄ライオンのような強さとしなやかさ。滲む残忍さ。 きた~!これですよ、これ!!!キャロルに影響される前のメンフィスは、超がつくほど傲慢なファラオでなくては!(もちろん傲慢というのはあくまでも現代人目線ですが)浦井メンフィス、この一週間で何かが吹っ切れたのか?明らかに、ひとつ殻を破った感がありました。ソロが終わった後の拍手の大きさに、この日の観客のエキサイト具合が表れていたように思います。他にも、1幕、キャロルと出逢って彼女を"狩ろう"とする際の獣度も上がっていました。まるで野生の豹。どう見ても意図的にキャロルを威嚇しながらなぶって楽しんでいるので、現代人目線では人として最低!なヤツなんですが、古代の支配者目線、メンフィス目線ではキャロルは文字通り「獲物」なので、何が悪い、といったところでしょう。こういうメンフィスの乱暴で残忍なところ、それを隠そうともしないところが、個人的には萌えポイントのひとつで大好きでした。それから、浦井メンフィスは回を重ねるごとにだんだん若くなっていった印象があります。幕が開いた当初より、楽では印象としては3歳くらい若い青年ファラオだったのでは。メンフィスが若く見えることは、彼の精神面での不安定さや危なっかしさ、統治者としての未熟さを匂わす上でも有効だったと思うし、キャスト間のバランスという点でも、落ち着いた大人な平方イズミル王子との対比がより鮮明に感じられ、面白かったです。メンフィスの感情表現もどんどんストレートに。これも良かった。キャロルと出逢い、彼女を愛しいと思う自分の気持ちに気づいてそれをためらいなく周囲に知らしめる。キャロルに「メンフィスの側にはいられない」と言われてショックを受けて怒ったり、思い通りにならないキャロルに苛立って怪我を負わせてしまうと、そのことを悔やんで人知れず葛藤したり、そんな自分にさらに苛立ったり。キャロルがイズミルに切られて大怪我を負うと、抱きしめながら大声をあげて泣き叫ぶし。(←イズミル王子が歌っている場面なので、あくまでもメンフィスはそういう演技をしているだけで実際に声は出していませんが)姉アイシスに対する想いも以前はあまり表に出していなかった気がしますが(メンフィスがアイシスをどう思っているのかいまひとつよく分からなかった)、千秋楽が近づくにつれ、姉として敬愛はしているけれど、女性として愛しているのはキャロルだけ、という毅然とした態度が見えてきました。アイシスにすがられての「姉上。やめて下さい」も、最初の頃は割とあっさり言っていましたが、後半になるにつれ「・・・やめて下さい」と微妙な間が入るようになり、口調にも、憐憫のような、謝罪のような、そんな姉上は見たくないという願望のような、なんともいえない複雑なニュアンスを帯びるようになってきました。つまるところ、メンフィスにとっては家族愛、アイシスにとっては男女の愛、なんだよねー。。。←アイシス、切ない(泣)。観る人によっては、いくつもの課題も感じた初演メンフィスだったかもしれません。でも今はそれはひとまず脇に置いておいて。。。今はとにかく、以前、浦井くんがこの作品を「メンフィスの成長の物語でもある」と言っていたことがすとんと腑に落ち実感できた千秋楽公演で本当に良かったと思うし、そんなメンフィスを楽しませてくれた浦井くんに感謝です。この後、秋には新国立劇場での『ヘンリー四世』が控える浦井くん。ハル王子を演じることは、きっと再演でのメンフィスを演じる上でも大きな糧となるに違いありません。再演で浦井メンフィスに逢える日を、楽しみに待っています!再演は心置きなくリピートできるよう、仕事の休みGETへの準備とチケット資金の積立を今から始めるのだ~!(←バカです)