運転者のイメージ
スポーツカーを運転しない人は、速い車がスポーツカーだと思っているようだ。最高速は何キロですか?と聞かれることが多い。公道しか走らないのだから最高速など意味がないのに。 車に限らず、良い道具とは使い手が予想するイメージを気持ちよく実現してくれる特性を持っているもののことだと思う。良い刃物、良いカメラ、良いラケット、良い顕微鏡はみなそうだ。 良くできたスポーツカーはまさにその典型で、このカーブ、この起伏をこういうイメージで走ってみようという運転者の思いを、何のストレスもなくむしろ快感を与えつつ実現してくれる。そのために適切な出力を持つエンジン、軽い車重、低い重心、適切に設計されたシャシーが与えられている。 だから、運転者がこう走ってみようというイメージを持たなければ何の意味もない。ただ漫然と目的地に向かって移動することしか考えていない人にとって、スポーツカーは狭くうるさく不便な車でしかないだろう。